あおり運転しやすい人は?

2019/04/16 10:17

県警などが制作したあおり運転防止を呼び掛けるチラシ=県警本部

 車間距離を不必要に詰めたり、前方で蛇行運転したりする「あおり運転」が全国で社会問題になっています。事態を重く見た警察庁は全国の警察に取り締まり強化を指示。兵庫県警は昨年、全国最多の摘発件数でした。あおり運転をするドライバーをどのように取り締まることができるのでしょうか。なぜ、そんな危険な運転を繰り返すのでしょうか?(杉山雅崇) 関連ニュース 4.2キロ執拗に追い回し、あおり運転容疑で建築業の男逮捕 男性と交通トラブルか 芦屋 「あおり運転され、その車を追いかけてる」 警察官が駆け付け、酒気帯び運転容疑で男逮捕 神戸 「ただいま録画中」ドラレコステッカーは効果あり?それとも逆効果? あおり運転抑止につながる「貼り方」と「選び方」


 -「あおり運転」とはどのような運転のこと?
 「他の自動車やバイクなどに対し車間距離を詰めて接近して速く走るよう挑発▽隣の車に極端な幅寄せ▽後方の車が急ブレーキなどで避けなければならないような進路変更-などの悪質・危険な運転行為。ただ、法的に明確な定義はない。2017年、高速道路であおられるなどして無理やり追い越し車線に停止させられた乗用車が、後続のトラックに追突されて、乗用車の夫婦が死亡する事故が起きた。これを機に、あおり運転の危険性に対する関心が高まったんだ」
 -どうやって取り締まるの?
 「今は至る所に防犯カメラなどがあるし、ドライブレコーダーもかなり普及してきた。映像でナンバープレートも個人も特定できるようになった」
 「車間距離を保たないと道路交通法の『車間距離不保持』(違反点数1~2点)。前を走っている車の前に出て急ブレーキをすれば同法の『急ブレーキ禁止違反』(同2点)と『進路変更禁止違反』(同1点)がそれぞれ適用されることがある」
 「兵庫県警は昨年から、覆面パトカーを中心とした取り締まりを強化している。昨年1年間で、車間距離不保持の摘発件数は計1782件。これは、全国最多の件数なんだ」
 -より重い罪に問われることもある?
 「危険な幅寄せをして相手を威圧したり、運転手を罵倒したりすると暴行罪が適用されることもある。あおり運転が原因で起こった事故で被害者が死傷した場合には、危険運転致死傷罪が適用される可能性がある」
 「あおり運転は重大な事故につながる。乗用車であおり運転した後にバイクに追突し、バイクを運転していた大学生を死亡させたとする男の裁判で今年1月、大阪地裁堺支部は殺人罪の成立を認め、懲役16年を言い渡した」
 -なぜあおり運転をしてしまうの?
 「犯罪心理に詳しい精神科医の片田珠美さんによると、あおり運転をしやすい人は怒りの衝動をコントロールしにくい傾向にあるそうだ。車は密室だから他人の目が気にならない。それで気が大きくなり、怒りの制御が効かなくなりやすいんだって。大きな車や高級車、スポーツカーに乗っていると、そうした傾向に拍車が掛かるみたいだ」
 -加害者にならないためには?
 「気持ちにゆとりを持って運転してもらいたいよね。急いでいるときはイライラしがちだと自覚すること。『やられたらやり返す』みたいな感情は絶対に持っちゃだめだ」
 -あおり運転の被害に遭ったら?
 「高速道路上なら、サービスエリアやパーキングエリアなどに避難して110番しよう。事故に巻き込まれる可能性があるから、道路上で停車したり、車から降りたりしないように」

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