フィギュアスケート ジャンプの見分け方は?
2019/10/04 16:51
滑らかで安定したジャンプを跳ぶ三原舞依選手
来年2月に韓国で開かれる平昌(ピョンチャン)オリンピックまで2カ月を切りました。冬季五輪の華、フィギュアスケートは、21日から東京で開かれる全日本選手権でいよいよ代表選手が決まります。美しい演技や迫力あるジャンプは見ているだけで楽しめますが、ジャンプの見分け方や点数の付け方を知れば面白さはぐっと増すはず。シングル競技に絞って、基礎からおさらいしてみましょう。(山本哲志)
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-ジャンプの違いがよく分からないよ。
「ジャンプは6種類あるけれど、確かに一瞬で見分けるのは難しい。でも『アクセル』は簡単に分かる。ほかの5種類は進行方向に対し後ろ向きで踏み切って後ろ向きに降りるけれど、アクセルだけは前を向いて跳び上がるんだ」
-浅田真央さんが得意だったよね。
「浅田さんの代名詞はトリプルアクセル(3回転半)。前向きに跳び、後ろ向きに降りるから、ほかの3回転ジャンプより半回転多く回る必要がある。一番難しいジャンプで基礎点(基本的な点数)も6種類の中で最も高いよ」
「ほかの5種類はややこしいけれど、踏み切る足とスケート靴のエッジ(刃)に注目してみよう。右利きの場合、右足で滑ってきて、勢いを付けるように左足のトー(つま先)で氷を蹴って跳ぶのが『トーループ』。一番易しいとされるジャンプで、他のジャンプを右足で降りた流れで左足を使えるから、連続ジャンプの後半に使われることが多い」
-あとの四つは?
「トーループとは逆に、右足のトーで蹴ってジャンプするのが『ルッツ』と『フリップ』。ルッツはジャンプの直前に左足のエッジ外側に体重をかけ、フリップはエッジの内側に乗る、という違いだけなので、正直見分けるのは難しい。『ルッツは長めに助走を取る』『フリップは前向きで滑り、振り向きざまに跳ぶ選手が多い』と覚えておこう」
「残りは『ループ』と『サルコー』だ。共通点はトーで蹴らずに、エッジに脚の力を伝えて直接跳び上がること。踏み切る足はループが『右』、サルコーが『左』。ループは跳ぶ直前に両足が交差するように見えるのが特徴で、サルコーは逆にハの字になる。スロー映像で確認すればよく分かるよ。ジャンプの種類と回転数ごとに基礎点が大きく変わってくる」
-ジャンプ以外の得点は?
「大技のジャンプは高得点の鍵だけど『ステップ』や『スピン』も重要な要素。技術的な難しさで判定され、最高難度のレベル4が一番高い基礎点になる。それに、完成度を示す出来栄え点(GOE)が加点されたり減点されたりするんだ。ちなみにGOEはジャンプ一つ一つでも判定されるよ」
-表現力も大事だよね。
「芸術が融合した競技と言われるのが、その部分。『演技構成点』といって、スピードやターンのうまさ▽技と技のつなぎ▽演技力▽振り付け▽音楽の解釈-の5項目ごとに採点される。ジャンプやステップ、スピンなどの『技術点』に『演技構成点』を加え、最後に転倒や演技時間の超過などを『減点』して最終的な得点になる。ショートプログラム(SP)とフリーでジャンプや連続ジャンプの回数制限があったり、演技後半のジャンプにボーナス点が付いたりと奥深い」
「全日本選手権には、兵庫県立芦屋高校3年の三原舞依選手と、神戸野田高校2年の坂本花織選手も出場する。優勝すれば五輪が決まる大一番。学んだ知識を生かしながら、ハラハラドキドキ応援しよう」