25日のドラフト、どうなる?
2019/10/04 16:51
早実・清宮幸太郎選手に7球団が競合した昨年のドラフト会議。日本ハム・木田優夫GM補佐(左から3人目)が当たりくじを引いた=東京都内
プロ野球の各球団が獲得したい新人選手を指名するドラフト会議。今年は甲子園大会で活躍した兵庫・報徳の小園海斗(こぞのかいと)内野手や大阪桐蔭の根尾昂(あきら)内野手、藤原恭大(きょうた)外野手、秋田・金足農の吉田輝星(こうせい)投手らの動向が注目される中、25日に東京都内で開かれます。毎年、大きな関心を集めるドラフトですが、実際はどのような仕組みで実施されているのでしょうか。(宮崎真彦)
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-「プロ野球志望届」の提出が締め切られたって聞いたけれど…
「プロ入りを希望する高校生と大学生は、あらかじめ志望届を提出する必要があるんだ。今月11日に締め切られ、251人(高校123人、大学128人)が届け出たよ。社会人や独立リーグの選手は提出しなくていいけれど、大卒者は2年目以上、高卒者は3年目以上でないと指名対象にならないんだ」
-どういう流れで選手は指名されるの?
「1位指名は入札抽選方式なんだ。全12球団が希望選手名を同時に提出し、単独指名の場合は選手との交渉権が確定。重複した場合は抽選(くじ)で決定し、外れた球団は再び希望選手名を提出して…という流れで、全球団の交渉権が確定するまで繰り返される」
「2位指名はそのシーズンのセ・パ交流戦で勝ち越して『優先権』を得たリーグの最下位から他方のリーグの最下位、優先権を得たリーグの5位-の順に球団が選手を指名するんだ。今年ならパ6位からセ6位、パ5位、セ5位-というように。3位はその逆にセ1位、パ1位、セ2位、パ2位-、4位はそのまた逆に…と進んでいく」
-1位指名の選手はくじで自分の将来が左右されることもあるんだね。
「過去には数々のドラマが生まれたよ。史上最多タイの8球団が競合した1989年の野茂英雄投手は残りくじを引いた近鉄が交渉権を獲得。斎藤佑樹投手や清宮幸太郎内野手らスター候補選手をいずれも競合の末に獲得した日本ハムの強運ぶりも話題になったよね」
-選手は自分の行きたい球団に行けないの?
「93年から大学、社会人の1位、2位指名に限り選手が希望球団を指名できる逆指名制度を導入したんだ。その後は自由獲得枠、希望入団枠と名称を変え逆指名できる人数を2人から1人に減らしたんだ。ただ、プロ球団からアマチュア選手への裏金支給の問題もあって2007年に廃止されたけどね。現在はアマチュア選手が希望球団を選ぶことはできない」
-どうしてドラフト制度が必要なんだろう。
「60年代、選手獲得に要する交渉金や契約金が膨れあがる『マネーゲーム』はとどまることを知らなかったんだ。球団経営の悪化や収入が安定する人気球団に有望選手が集中しないようにと、アメリカのプロフットボールNFLが行っていたドラフト制度を参考に、65年11月に第1回新人選手選択会議(ドラフト会議)が開かれた」
-制度に問題は。
「志望する球団に入れないということで、選手の職業選択の自由に反するという指摘もある。78年には江川卓投手がドラフト会議前日に巨人と突然契約した一件が『空白の一日』として社会問題になったほか、希望球団の指名がかなわなかったとして、11年に日本ハムからの1位指名を拒否し1年の浪人を経て巨人に入団した菅野智之投手などの例もある。チーム数が12と限られ、戦力均衡の面から見ても自由競争での選手獲得はなかなか難しい。選手、球団にとっても、よりよい制度にしていくのは今後も課題だね」
-今年は兵庫の注目選手が多いみたいだね。
「高校生では今夏の甲子園大会で8強に進んだ報徳の小園海斗内野手が上位指名確実と言われているよ。いずれも大学日本代表として活躍した立命大・辰己涼介外野手(社高出)、日体大・松本航(わたる)投手(明石商高出)、東洋大・甲斐野央(ひろし)投手(東洋大姫路高出)も有力だね。都市対抗大会で大阪ガスの初優勝に貢献した近本光司外野手(社高-関学大出)ら社会人にも実力派の選手がそろう。これだけ上位指名候補に兵庫の選手の名前が並ぶのは珍しいことだよ。注目選手がどの球団から指名を受けるか、今から楽しみだね」