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神戸新開地喜楽館

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神戸新開地・喜楽館前で開場への期待を語る新将一郎さん(左)と細川能嗣さん=神戸市兵庫区新開地2(撮影・吉田敦史)
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神戸新開地・喜楽館前で開場への期待を語る新将一郎さん(左)と細川能嗣さん=神戸市兵庫区新開地2(撮影・吉田敦史)
後に「神戸新開地・喜楽館」となる「(仮称)神戸新開地演芸場」の建設予定地を紹介する桂文枝さん(右から2人目)ら=2017年3月、神戸市兵庫区新開地2
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後に「神戸新開地・喜楽館」となる「(仮称)神戸新開地演芸場」の建設予定地を紹介する桂文枝さん(右から2人目)ら=2017年3月、神戸市兵庫区新開地2

 新開地を新しい定席の候補地にしてください-。きょう11日、神戸市兵庫区新開地2に開場する上方落語の定席「神戸新開地・喜楽館」の誕生は約4年前、上方落語協会に届いた1通の手紙から始まった。書いたのは地元のすし店「源八寿し」の若大将、新将一郎さん(40)。「いつも常連さんから昔の街のにぎわいを聞き、もう一度活気づいたらいいなと思っていた」と実現に喜びをかみしめる。(松本寿美子)

 2014年8月、同協会会長だった桂文枝さん(74)が大阪・天満天神繁昌亭に続く第2の定席を神戸で検討中との新聞記事が掲載された。新さんは「他の地域より先に」と人知れずペンを執り、便せん1枚に手紙をしたため、繁昌亭の住所に同協会宛てで送った。

 「新聞記事を読みました。新開地はいかがですか」。記憶はおぼろげだが、かつて「東の浅草」と並び称された大衆娯楽の街の復活を願う内容だったという。

 数日後、繁昌亭支配人から視察申し入れの電話があった。「まさか、あんなに早く連絡が来るとは」と新さん。相談を受けた義父の大将は「うちのがこんな手紙を出して。どないしよ」と新開地2丁目商店街振興組合理事長の細川能嗣さん(69)に報告した。

 間もなく文枝さんのほか噺家ら約10人が訪問。新さんと細川さん、同館の運営を担うことになるNPO法人「新開地まちづくりNPO」の事務局長が応対し、空き地3カ所を案内した。

 その中で文枝さんが一目で気に入ったのが今回の建設地。長年空き地で、グループホーム建設などの構想が浮かんでは消え、商店街が祭りなどのイベント用に借りている場所だった。入り口が狭く、奧に広がるタコつぼ状の土地だが、通路を通って建物に入るイメージが湧いたようだった。

 文枝さんは当時について「その後、すし屋にも食べに行きましたら、ようはやってるんですわ。それを見て、自分とこだけが儲かっててもあかん、地域全体で元気になりたいんやなと、若い人の気持ちが心にしみました」と振り返る。

 果たして構想は始動。建設費などの困難に直面するたび、信頼の絆は強まった。

 新さんは「いま思えば、よう無責任なことをしたなとも思います。僕は手紙を書いただけで何もできてないですから」と恐縮する。細川さんは「やりやがったな」とにんまり。「やっぱり地域には新しい人、若い人が入ってこなあかんなと実感した。若手の落語家に高座を増やしてやりたいという文枝さんの思いにも共鳴した」としみじみ話す。

 11日は商店街で定休日の店が多い水曜だが、全店舗に営業するよう通達。多くの店が同館の来場者向けに入場券や半券の提示で割引や特典のサービスを設け、街ぐるみで応援する。

 「ラストチャンスや」と細川さん。「おそらく今後しばらくは新開地でこんなことはないやろ。これを上手に使わなあかん。喜楽館に来た人に商店街の常連さんになってもらいたい。各店の努力次第」と力を込める。

2018/7/10

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