鈴蘭台で青春時代の思い出探し 五輪銀の朝原宣治さん
2019/08/21 05:30
ハンドボール部に所属していた中学時代について語る朝原宣治さん=神戸市北区山田町小部(撮影・鈴木雅之)
「20年ぶりに神鉄(神戸電鉄)に乗りましたよ!」。鈴蘭台駅(神戸市北区)の改札で、「その人」は声を弾ませた。180センチ近い長身に彫りの深い整った顔立ち、「和製カール・ルイス」と呼ばれた五輪銀メダリストといえばそう、元陸上選手の朝原宣治さん(47)。同駅に近い小部東小と小部中を卒業した「鈴蘭台っ子」だ。青春時代の思い出を探し、一緒に「鈴ぶら」してもらった。(伊田雄馬)
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朝原さんは1972年生まれで、現役時代の専門は短距離走や走り幅跳び。2008年の北京オリンピックでは4×100メートルリレーに出場し、悲願の銀メダルを獲得した。
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「景色が全然違う! ここどこ?」
まちの変化に目をぱちくりさせる朝原さん。「うわー。すごい。駅前(再開発)頑張りましたね」と、真新しい7階建ての建物を見上げてスマホでパシャリ。シャツの上からでもはっきりと分かる隆々とした筋肉。通行人の注目を集める前に小部中を目指し、駅前の坂を東へ向かった。
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「あ、朝原やん!」。出発してすぐ、紺色の前掛けをかけた男性が立ち止まった。男性は偶然にも朝原さんの中学時代の同級生で、近くの酒屋「吉田商店」の吉田寛さん(46)だった。
中学の頃はハンドボール部に所属していた朝原さん。当時の友人とはSNS上で交流があるものの、再会したのは久しぶり。吉田さんは「娘に自慢する」と喜び、昔話に花を咲かせた。
吉田さんは「(朝原さんは)当時から女子にモテていた」と振り返ると、朝原さんもまんざらでもない表情。ただ部活の練習が厳しく、遊ぶ時間がなかったそう。中学時代から学校イチの俊足か…と思いきや、陸上部の生徒に負けて2位だったといい、「高校から陸上を始めてあそこまで速くなれるのは、やっぱりすごい。地元の誇りです」(吉田さん)と舌を巻く。
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吉田さんと別れ、再び歩き出す。老舗のパン屋「ワールド」やかかりつけ医だった「吉武内科」など、記憶に残る場所に時折足を止めながら、中学時代の話をしてくれた。
-なぜハンドボール部に入部を?
「本当はサッカーがしたかったけど、サッカー部が学校になかった。どうせやるなら強いところで、と入部しました」
-どんな練習を?
「ボールを扱う前に、基礎的なフットワークをたたき込まれました。ターンの練習などで下半身を強化したことが、陸上競技にもつながったと思う」
「水を飲むな」、「私語厳禁」などの厳しい規律に同級生部員の半分が退部してしまったという。
思い出が詰まった小部中までは歩いてもう少しだ。