大阪万博のパビリオンを移設 神戸市北区のアジアンな建物

2019/08/24 05:30

大阪万博後、移設し、集会所として再利用されている「カンボジア館」=神戸市北区広陵町2

 まちを歩いていると妙に気になる建物や看板、施設などに遭遇する。取材をしてみると「えっ!」と驚く背景や歴史に触れることができる。「北マンスリー 街道を行く」。神戸市北区山田町で出合った「えっ!」を紹介する。(喜田美咲) 関連ニュース ルーツの神戸文学館、120年前の姿を模型で再現 関学大三田キャンパスの学生ら 12日から披露 ポートタワー形パン、神戸の学生100人で開発 ベリーやナッツで華やかに 26日販売 神戸・須磨海づり公園、11月1日再開 休園6年から復旧、食事や買い物楽しめるレジャー施設に

 同市北区広陵町2の住宅街。ひときわ鮮やかな黄色の建物が異彩を放つ。しかも屋根は鋭角。先端には「しゃちほこ?」のような飾りが。見た感じアジアンだ。所有者の趣味なのだろうか。
 実はここ、広陵町の自治会が管理運営する集会所。1970年の大阪万博のパビリオンの一つ「カンボジア館」を移設し、再利用しているのだという。
 同町の宅地開発業者が、販促の“売り”にしようと落札し、更地の真ん中にぶっ建てた。屋根先端のしゃちほこのようなものの正体は、カンボジアで「水の神」といわれる蛇を模しているという。
 せっかくならカンボジアとの交流も続けていこうと、自治会長の田中收さん(70)が就任した6年前から、同国領事館から借りた物品や孤児院の子どもたちが描いた絵の展示なども実施している。
 老朽化が目立ち、昨年4月には改修工事も行われた。来年は大阪万博から半世紀。田中さんは「カンボジアの建築様式をとどめる貴重な建物。保存していくためにも、文化財への登録を目指している」と意気込む。

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