値幅制限 突発事態に対応、大混乱を防ぐ

2014/07/10 17:29

 予想しない出来事で、企業の株価が一気に上がったり、下がったりすることがあります。東京電力の株価が福島第1原発事故後に急落したのが、代表例です。こんなときに市場の大混乱を防ぐのが「値幅制限」です。 関連ニュース 放射性物質調査でアユ捕獲 福島・浪江、漁再開目指し 首相、福島の避難解除地域視察 介護人材確保へ支援 初の核燃再処理工場、廃止を申請 原子力機構、国費1兆円投入

 値幅制限は、証券取引所が設けているもので、制限幅いっぱいまで株価が上がった状態をストップ高、反対に限界まで値下がりした状態をストップ安と言います。
 制限幅は基本的に前営業日の終値の水準で決まります。例えば、終値が5千円以上7千円未満なら上下千円、7千円以上1万円未満は同1500円といった具合です。5月30日時点では、株価が5千円台だったトヨタ自動車の制限幅が上下千円で、株価が7千円台だったソフトバンクは同1500円でした。
 通常は、売り手と買い手が望む値段が一致したところで株価が決まり、売買が成立します。でも買い注文に対し売り注文が極端に多いときや、反対に多数の買いに対してごくわずかの売りしかないときに、ストップ安やストップ高となる株価でも売買が成立しないまま取引終了時間となることがあります。
 そんな場合は比例配分という方法を取ります。仮に買い注文10万株に対して売り注文が1万株だとすると、1万株だけ売買を成立させて、この1万株を買い注文の株数に応じて証券会社に配分し、さらに証券会社が各社のルールに基づいて投資家に割り当てます。
 ストップ高が3営業日連続したり、ストップ安が3営業日続いたりして所定の基準に該当すると、上昇側または下落側の制限幅が2倍に拡大されます。
 トヨタや新日鉄住金のように、東証以外の証券取引所にも上場している場合は、全ての取引所で同じ扱いとなります。
 市場が混乱するような出来事があると、少しでも早く株式を買ったり、売ったりしたくなるでしょう。しかし、パニックに陥らず冷静に状況を見極めることが大切です。

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