TDネット 正確な情報を素早く伝達

2014/07/10 17:52

 株式投資をする際には企業の業績などに関する正確な情報を、早く手に入れることが大切です。そのために役立つのが、東京証券取引所の「適時開示情報伝達システム」です。「TDネット」という略称で呼ばれることが多いようです。

 TDネットは上場企業が公表する重要な情報を素早く、かつ公平に伝えるため1998年に導入されました。
 企業側には、投資家が判断する上で必要な情報を、TDネット上で開示することが義務付けられています。開示されるのは、業績のほか事業展開などに関する情報です。具体的には、決算や配当・業績の予想、他社との合併、子会社の設立などです。
 インターネットに接続したパソコンがあれば、東証のホームページを経由するなどして、比較的簡単に情報にアクセスできます。いったん掲載された情報は土日や祝日を含め31日間、閲覧が可能です。
 TDネットには、新聞やテレビが報じた内容に対する企業のコメントも出ます。経営統合や新規事業への進出が伝えられると、朝一番から「検討中ですが、既に決定した事実はありません」などとする資料が掲載されるのです。報道内容が正しいかどうかを素早く判断できないと投資家が混乱するからです。
 決算などは株式の取引が終了する午後3時より後に、公表されることが多いようです。
 TDネットの導入で、投資判断に必要な情報を容易に入手できる仕組みはできましたが、改善の余地もあります。
 例えば、他社との合併計画があると報じられた企業が「当社が発表したものではありません」とだけ開示するような事例があります。でも、これでは計画が存在しないのか、合併へ動いているけれど発表していないだけなのか分かりません。
 このため、東証はこうした不明確な情報が出されたとき、投資家にその旨を注意喚起する制度の整備を検討しています。

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