閑散相場 出来高減り値動きも小さく
2014/08/15 12:39
もうすぐお盆。製造業では、この前後に夏休みで工場を止めるところもたくさんあります。機関投資家の運用担当者も仕事を離れるケースが増えるので、株式市場ではこの時期に出来高が減って相場に勢いがない「閑散相場」になることが少なくありません。
夏休みにレジャーなどに出かける個人投資家が多いことも出来高減少の理由です。さらにメーカーなどの事業会社から取引の材料になるようなニュースが出てくることも比較的少なくなるため、積極的な売買が減り、値動きも小さくなる傾向があります。
東京証券取引所の市場1部の出来高をみてみましょう。昨年の1日平均は約34億3600万株でした。それが8月に限ると約22億6700万株で、かなり少ないことが分かります。百貨店業界では8月は「夏枯れ」と言って販売が低調になりますが、株式市場でも同じようなことが起きるのです。
東京株式市場の売買で比重の大きい外国人投資家も夏はバカンスで動きが鈍くなります。ことしは7月から出来高が少なくなっていますが、市場では多数の海外の投資家がサッカーワールドカップに夢中になって、取引しなかったのが一因だとうわさされています。
株式市場には「閑散に売りなし」という格言があります。売買が低迷して株価が上がらないからといって手持ちの株を衝動的に売ると、その後に株が値上がりして失敗することが多いという意味で使われます。
ただ閑散相場のとき、いつも市場が無風に近い状態だとは限りません。出来高が少ないと、何かのきっかけで、ある銘柄に多少まとまった買いや売りの注文が入ると、株価が上下に振れやすくなるからです。
こんな場合も、慌てて行動するのは禁物です。相場が大きく動いた後には、反動が出るのが常です。特に投資初心者は、心に余裕を持って、長期的な投資を心がけるのが良いでしょう。