損益通算 株での損失は3年繰り越し可能

2014/10/08 17:08

 株式の売却益や配当は、原則的に課税対象となります。ただし一定の条件に従い、株式運用で生じた損失を利益から差し引いて課税対象額を減らすことができ、これを損益通算と呼びます。うまく活用すれば、節税の効果が上がります。 関連ニュース 少額投資非課税制度(上) 年100万円上限 来年スタート

 売却益や配当への税率を約10%に軽減していた証券優遇税制は2013年末に終了し、14年からは税率が約20%に上がりました。それだけに、損益通算の重要性が増しているといえるでしょう。
 例えば、ある年に配当を得た一方、別の銘柄が値下がりして売却損を出した場合、損失を差し引いて配当への課税額を圧縮できます。配当は源泉徴収の対象ですが、確定申告などを通じて還付を受けることが可能です。
 また株で大きな損をした人に特に効果的なのが、3年間の繰り越し控除の特例です。14年に発生した損失を、利益から差し引いてもまだ損が残った場合、15~17年に損を繰り越せます。そして、それぞれの年に生じた売却益や配当と相殺して、課税額を抑えられます。この特例の適用には、確定申告が必要です。
 国債や地方債、社債といった公社債の売却損益や利子の税制は変更予定で、16年以降は株式とほぼ同じ扱いになります。損益通算の対象が公社債にも拡大し、損失の繰り越しも可能になります。
 SMBC日興証券の新井裕之証券税制・相続業務推進室担当課長は「14年の株式売却損と、16年の個人向け国債利子の損益通算もできます。ことし株で損が出た人は、確定申告をして繰り越しを忘れないようにしてほしい」と話しています。
 なお、ことし1月から「少額投資非課税制度(NISA)」が始まり、個人投資家の人気を集めています。株式売却益や配当が非課税となる魅力の半面、損失を他の証券口座の利益と通算することは認められていません。こうしたこともよく考えた上で、投資を判断することが大切です。

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