日銀(下) 世の中のお金の量を調節

2014/12/10 19:49

 日銀の働きの中でも、特に注目度が高まったのが金融政策の決定です。金融政策とは、大まかに言えば、経済の健全な成長を実現するために世の中のお金の流れ方を調節することです。 関連ニュース 日銀、物価上昇のシナリオ変えず 総裁会見「勢いは維持」 日銀、景気判断9年ぶり「拡大」 物価見通し引き下げ 日銀総裁人事は「年齢考えず」 菅官房長官、黒田氏を評価

 例えば景気が悪くモノやサービスが売れにくいときは金利が下がるように仕向けます。そうすれば、企業や個人がお金を借りやすくなって、売れ行きが良くなるという具合です。
 反対に景気が過熱して物価がどんどん上がっているときは、金利を引き上げて企業の投資や消費を抑え、経済活動を落ち着かせます。
 一方で、金利の上下は外国為替市場の円相場にも大きく影響します。
 仮に日米ともにゼロの金利が、米国だけ年1%上がるとしましょう。
 投資家は少しでも有利な運用をしたいと考えているので日本で運用している資産を減らし、米国での運用に切り替えようとするでしょう。さらに「景気が良くなってきているサインだから米国で投資した方が利益を稼げる」と考える企業も増えてくるでしょう。
 そうすると円を売ってドルを手に入れようとする動きが強まり、円安ドル高が進むのです。
 2008年のリーマン・ショック後に景気の低迷が長引いたため日本や米国では金利の引き下げが続き、ほぼゼロの水準(ゼロ金利)になりました。さらに、その後も景気を上向かせる必要があったため、日米では民間銀行が持つ国債を買うなどし、代金を支払うことで世の中に流れるお金を増やしました。これが「量的金融緩和」と呼ばれる手法です。
 民間銀行の手持ちのお金が増えるので貸し出しをしやすくなり投資や消費が刺激されます。ただ、日銀が量的緩和をしてお金の量が増えると、お金の価値は低下するので、やはり円安につながります。
 円安は日本経済の屋台骨である自動車や家電のメーカーの業績を伸ばす効果がありますが、輸入品の値上がりといったデメリットにも目を向けておきましょう。

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