原油価格 世界的急落、企業の株価に影響
2015/10/07 16:00
原油価格が世界的に急落して、関心を集めています。原油はガソリンや灯油だけでなくプラスチックなどの原料としても使用され、現代社会には欠かせない存在です。このため原油の値動きは企業の業績や株価に大きな影響を与えるのです。
そして特に注目度が高いのがニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場しているWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)という原油の先物価格です。WTIは米テキサス州を中心に産出し、硫黄分が少なく質の良いのが特長です。
日本が輸入するのは大半が中東産ですが、この値動きもWTIにつられることが多いのです。
原油相場の変動要因を需要と供給の両面で考えましょう。初めに需要です。世界一の経済大国である米国は原油消費量も世界最大で、急速な経済発展を遂げた中国が続きます。従って米国や中国の景気減速を示すデータは、原油価格を押し下げる要因となります。
さらに景気情勢と密接に関わる金融政策の動向などが相場を動かすことも珍しくありません。
生産面では、産油国の政情や生産方針が重要です。例えば主要産油国が集中する中東地域で紛争が起きて情勢が緊迫すれば、原油の生産や輸出が滞る恐れが高まり、値上がりの要因となります。
以前の技術では採掘が困難だった地層から産出する「シェールオイル」の生産動向も目が離せません。生産の中心は米国です。「リグ」と呼ばれる採掘装置の稼働数を米企業が公表しています。この数が増えれば生産も活発だと判断されます。
原油が安くなれば世界の株式市場でエネルギー関連などの業種の株式が下落傾向を示す一方で、燃料コスト減少が期待できる空運や陸運株は上昇傾向となります。
原油に投資したいときは東京商品取引所の原油先物や、東京証券取引所で売買される上場投資証券(ETN)を活用する手があります。ETNについては次回で見ます。