金融商品課税見直し 公社債の譲渡益に20%課税

2015/10/28 16:26

 2016年から金融商品の税制が変わります。これまで非課税だった公社債の譲渡益に株式と同じ20%の税(ここでは復興特別所得税を考慮しません)が課されるようになります。

 新たに課税されるのは公社債と、公社債で運用する投資信託の譲渡益です。外国債券や外貨建てのMMF(マネー・マネジメント・ファンド)を保有している人は、制度変更で大きな影響を受ける可能性があるので注意しましょう。
 例えば、1ドル=80円の時に1万ドル(80万円)で買ったドル建て債券を、1ドル=120円の時に同じ1万ドル(120万円)で売ると為替変動で40万円の利益が出ます。この場合、ことし中に売れば非課税ですが、来年以降は税金がかかるのです。
 別のケースを考えましょう。債券投資で40万円の譲渡損を抱え、株式の売却や配当で100万円の利益を得た場合、今は100万円全額に20%、つまり20万円の税金が課されます。しかし、来年から公社債と株の損益を相殺する損益通算が認められるので、債券の損を差し引いた60万円が課税対象となり、税負担は12万円で済むのです。
 損益通算には確定申告が必要ですが、自動的に納税される「源泉徴収あり」の特定口座を利用すれば申告は不要です。
 現在、特定口座で運用できるのは株と株式投信ですが、16年から債券などの扱いも始まります。
 定年退職者やその妻が確定申告をすると、前年より所得が増えたとみなされ、国民健康保険料や医療費の自己負担額が増える場合があります。特定口座を使えば確定申告をしなくて済み、負担増も避けられます。
 債券と株の損益を相殺してもまだ損が残るときは、損失額を3年間繰り越すことも可能になります。例えば、ことしの株の損と来年以降に債券で得た利益を通算できます。ただその場合、株の損失を確定申告する必要があります。

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