ROE 利益獲得の効率性を示す
2015/12/16 14:24
自己資本利益率(ROE)
ここ数年で「ROE」という経営指標に対する注目度が、かなり上がりました。ROEに関する本もたくさん出版され、新聞などで「日本企業のROEの水準は欧米に比べて低い」といった記事を目にする機会も多くなりました。
経営指標とは企業の経営状況を示すデータのことです。ROEは日本語では自己資本利益率、または株主資本利益率といい、株主が託したお金を使って経営者がどれだけ利益を出したのかを表します。計算は、純利益を自己資本(株主資本)で割り、百分率にします。
仮に純利益を3億円計上した会社が二つあり、自己資本がA社30億円、B社60億円とします。この場合のROEは、A社が10%、B社は5%となり数字の大きいA社の方が利益獲得の効率がいいということになります。
このように「企業が自分たちの出したお金でどれだけ効率的に稼いだか」を株主が一目で判断できるのです。
ROE自体は目新しい指標ではありません。しかし昨年、政府は外国人投資家らとの関係などを考慮し、日本企業が「8%を上回るROEを最低ラインとし、より高い水準を目指すべき」とする報告書をまとめました。
さらに日本取引所グループなどが、ROEの高さなどを基準に採用銘柄を選ぶ新たな株価指数の算出を始めたこともあり、この指標への関心が、ぐっと高まったのです。
株式市場ではROEが高い銘柄の株価が上昇しやすいという傾向も現れています。
日本企業のROEは平均5~8%程度と言われています。一方、欧米企業は15%程度とされ、かなり開きがあります。
一般的にはROEが高いほど投資家に歓迎されます。しかし、例えば利益が増えなくても自社株買いをすれば、計算式の分母に来る自己資本が減るのでROEは上がります。企業の実力を適切に判断するには他の指標も活用して企業を俯瞰(ふかん)することが必要でしょう。