物価指標 経済の実態を映す「体温計」

2016/08/03 14:32

神戸新聞NEXT

 物価とはモノやサービスの価格のことで、経済の実態を映す「体温計」や「鏡」とも言われています。モノに対する需要と供給のバランスを基本的に反映しているからです。日銀は物価の安定を目指して金融政策を運営しており、物価の変動は外国為替相場や株価にも影響を与えます。 関連ニュース デフレ脱却へ歳出拡大を 首相元ブレーン、本田スイス大使 中央銀 金融政策で物価安定狙う ファミマとユニーが経営統合 デフレ懸念、顧客争奪戦へ

 日銀は2013年4月、デフレからの脱却に向けて2%の物価上昇目標を掲げ、大規模な金融緩和をしました。物価が下がり続けると企業の売り上げも落ちて、経済全体の規模が縮小する恐れがあるからです。
 消費者が購入する商品やサービスの価格動向を示す消費者物価指数は総務省が毎月発表しています。食料品や電気・ガス料金、家電製品といった生活に欠かせない588品目の値動きが対象です。日銀が物価の動きや傾向を判断する際には、天候要因による価格変動が大きな生鮮食品を除いた指数を重視しています。
 ただ、原油価格の変動が大きく物価の動きを適正に反映することができない可能性があるとして、日銀は生鮮食品だけでなく、電気やガソリン代といったエネルギー関連も除いた消費者物価指数を独自に算出して公表しています。
 他の物価指標には、販売時点情報管理(POS)システムのデータを基に算出し、速報性に優れた物価指数「日経CPINow」もあります。
 物価が伸び悩んで2%の目標達成が困難になれば、日銀は世の中に出回る資金量を増やしたりして景気を刺激する金融緩和を検討します。市場の金利を下げ、輸入物価を押し上げる円安や個人消費を刺激する株高をもたらし、物価上昇につなげる狙いがあります。
 日銀は当初は2年程度で物価目標達成を目指していましたが、達成期限を既に何度も延期しています。それでも最近は消費者物価指数の前年割れが続き、市場では達成は難しいとの見方が多いのが実情です。

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