鉱工業生産指数と機械受注統計 製造業の動向を把握
2016/08/10 15:24
神戸新聞NEXT
今回は代表的な経済指標のうち、鉱工業生産指数と機械受注統計をみてみます。いずれも景気の動向に大きな影響を与える製造業に関連した指標で、株式や外国為替の取引材料になります。特徴を理解して上手に活用しましょう。
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鉱工業生産指数は経済産業省が毎月の鉱工業製品の生産量を調べ、基準年を100として指数化、翌月末ごろに速報値を、翌々月中旬に確報値を発表します。国内総生産(GDP)などよりも早く景気の現状を把握できる点が特長です。
対象業種は鉄鋼、電気機械、輸送機械、化学、プラスチック、繊維など広範囲にわたります。業種別の指数も発表されるため、個別株を取引する上で参考になります。
機械受注統計は設備投資の先行指標です。内閣府が毎月、主要機械メーカー280社を対象に、自動車や半導体の製造装置といった設備投資向けの受注額を集計し、翌々月上中旬に発表します。
受注段階の統計のため、6~9カ月先の設備投資の傾向を予測でき、前月比増減率が注目されます。船舶と電力の受注は不規則で全体の景気動向との関連が薄いため、通常は「船舶・電力を除く民需」の数値が参考にされます。
ただ、大型案件の有無で受注総額が大きく変動するため、単月の結果だけで傾向を判断するのは難しいとの指摘もあります。
機械受注統計よりもさらに早く設備投資動向を知ることができる、工作機械受注額も注目度が高い指標です。こちらは業界団体が受注額を集計して毎月発表しています。複数の指標を参照することで、より適切な投資判断が可能になります。
鉱工業生産指数、機械受注統計はいずれも、発表を控えて民間の研究機関などが独自予想を公表します。このため、予想と異なる結果が発表された場合、株価や為替相場が大きく変動することもあるので注意が必要です。