イールドカーブ 景気動向占う利回り曲線
2016/10/26 14:29
神戸新聞NEXT
日銀は9月、消費者物価の上昇率を2%超にするために、お金の量から金利に注目する政策に転換しました。政策の中心に「イールドカーブ・コントロール」を据えると発表しましたが、イールドカーブとは何を指すのか見てみましょう。
イールドカーブとは、債券に投資したお金が償還されるまでの残存期間と利回りの関係を、縦軸に利回り、横軸を残存期間として折れ線グラフで表したものです。利回り曲線とも呼ばれ、主に国債の利回りを用います。
通常、利回りは残存期間が短いほど低く、長いほど高いため、グラフは右上がりの曲線になります。まれに金融不安などで短期金利が長期金利を上回って上昇し、右下がりになることがあります。この状態を、右上がりの順イールドカーブに対し、逆イールドカーブと呼びます。
利回りは残存期間だけでなく、日銀の金融政策や、投資家が将来の景気をどのように見ているかも反映されて決まります。今より将来は景気が良くなり、インフレ率は上がると予想する人が多ければ、長期金利と短期金利の差は広がり、曲線の傾きは急になります。
逆に今後、景気は減速し、デフレになるとの見方が多いと長期と短期の金利差は縮小して傾きは緩やかになります。
傾きが急になることを「スティープ化」、緩やかになることを「フラット化」と言い、曲線の傾きは将来の景気の動向を占う指標として用いられることがあります。
日銀のマイナス金利導入で金利水準は下がりましたが、イールドカーブの傾きが想定以上に緩やかになってしまい、弊害が出ています。そこで10年国債の利回りを0%程度にとどめ、より長い期間の利回りを上げた上昇カーブにしようというのが新しい試みです。
償還までの期間が長いほど、利回りはさまざまな要因に左右されます。思い通りのカーブを描けるか、日銀の手腕が試されるところです。