2016年の中国景気 小康状態構造改革は進まず
2016/12/21 15:52
神戸新聞NEXT
中国経済は減速が懸念され、世界の金融市場にも影響を及ぼしています。2016年の中国景気は比較的堅調な個人消費に支えられ小康状態を保っていますが、持続的な成長に向けた構造改革はなかなか進んでいません。株価は急落する局面があり、高騰した不動産は勢いに陰りが見えます。
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実質国内総生産(GDP)は16年7~9月期まで3四半期連続で、前年同期比6.7%増でした。民間の設備投資は低調で、輸出も振るいませんでした。
一方、新車販売は小型車減税に支えられ1~10月で前年同期比13.8%増の2200万台余りに達しました。ネット通販も伸びており、アリババグループが「独身の日」と呼ばれる11月11日に実施したセールの取引総額が約1207億元(約2兆円)に上り、過去最高を記録しました。
16年の上海株式市場は、経済の先行き不安に証券当局の市場対応のまずさが重なり、大幅に下落する波乱の幕開けとなりました。代表的な指標である総合指数は1月下旬に、15年末と比べて2割超も値下がりしました。その後は一進一退を繰り返しています。
不動産市場には投機資金が流入し、新築住宅価格指数は大きく上昇していました。しかし最近、地方政府がバブルを警戒して購入抑制策を始め、10月は過熱が顕著だった広東省深〓で前月と比べて下落に転じました。住宅ブームにブレーキがかかり、景気を下押しする恐れもあります。
鉄鋼をはじめ過剰な生産設備を抱える国有企業が多い中、再編や淘汰(とうた)があまり進んでいない現状があります。米大統領選で保護主義的な政策を掲げるトランプ氏が勝利し、中国は新たな不安材料を抱え込みました。
最近の人民元相場は対ドルで下落し、資本流出が懸念されています。15年8月に元切り下げをきっかけとした混乱から世界同時株安が起こった経緯があり、市場では一段の元安進行を警戒する声も聞かれます。
(注)〓は「土」の右に「川」