日銀政策と金融株 マイナス金利で厳しい環境
2016/12/28 14:36
神戸新聞NEXT
銀行や保険会社などの金融機関は今年、日銀のマイナス金利政策導入で金利が低下し、厳しい経営環境が続きました。これらの金融機関の株価も日銀の政策や金利の影響を受けて大きく動きました。
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日銀は世の中に出回るお金を増やし、企業の設備投資や個人の消費を活発にしようと、金融機関が保有する国債などを日銀が大量に買い入れてきました。この結果、国債の利回りはどんどん低くなりました。
今年2月にはマイナス金利政策を実施しました。日銀は銀行からの預金に年0.1%の利息を支払っていましたが、銀行が一定以上のお金を預けた場合、年0.1%の手数料を課すことにしました。日銀の金利は民間で金利の下限として意識され、長期金利の指標である10年国債の利回りはマイナス圏に入りました。
銀行にとっては住宅ローンや企業への貸出金利の低下で利ざやが縮小し、契約者から預かった保険金を運用する保険会社は運用難に見舞われました。金利が低下するのに合わせて銀行や保険会社の株価も低迷しました。
日銀は7月に上場投資信託(ETF)の購入額を年6兆円に増やすことを決めました。日銀のETF買い入れは株価全体を下支えし、金融株も下げ止まるという効果が出ました。
また金利が低くなり過ぎて日銀が想定した以上に金融機関の経営を圧迫したため、9月には政策目標をお金の「量」から「金利」に転換。マイナス金利は維持しつつも、長期金利を0%程度に誘導する目標を設定し、金利の低下には歯止めがかかりました。
11月にはトランプ氏が米大統領選で勝利し、金融規制緩和などの政策への期待感から世界的に株価が上昇。日本の金融株も値を戻しました。米金利に連動し日本の金利は上がっていますが、日銀は金利上昇を抑えようとしており、金融機関の経営状態改善が進むかどうか、先行きには不透明感もあります。