貿易関連株 保護主義は懸念材料に

2017/01/25 14:21

神戸新聞NEXT

 今回は海外との貿易を手掛け、日本の経済成長を支えてきた商社や海運といった銘柄を取り上げます。国際的な商品市況から読み取れる世界の景気動向が株価に影響するのが特徴といえます。 関連ニュース 台頭する中国への焦り 保護主義に傾く米国に日本は追随すべきか 経済安全保障の枠内で独自の政策を 分断へと向かう世界…日本は早急に「フレンドショアリング」を強化せよ 2016年の新興国景気 資源安でマイナス成長の国も

 商社は日経平均株価の構成銘柄では三菱商事、三井物産、伊藤忠商事などがあります。幅広い商品を扱う総合商社のほか、電子部品などの専門商社も加えれば多数の企業が上場しています。
 総合商社は資源開発にも力を入れています。しかし、世界経済の減速を背景とする銅や原油などの価格下落が打撃となり、2016年3月期は大手7社で1兆円を超える損失を計上しました。16年前半の商社株は軟調さが目立ちました。
 原油の国際的な指標では、米国産標準油種(WTI)があります。エネルギーや金属、穀物などの商品価格をまとめて算出するCRB指数も市場関係者に注目されています。商品市況は総じて持ち直しの兆しがあり、16年後半の商社株は上昇傾向となりました。
 原油高は、商社株には総じてプラスに働きます。ただ燃料高でコストが増えるとして、貿易関連でも空運株には逆風となることが多いようです。
 海運は日本郵船、川崎汽船、商船三井が大手3社として知られています。貨物需要は変わりやすく、世界景気の動きが業績を左右する業界といえます。株価は、海上輸送運賃のデータを基に算出する「バルチック海運指数」との連動性があるとされています。
 海外勢との競争は激しく、海運大手3社は定期コンテナ船事業の統合を決めました。コスト削減で収益力を回復できるかが焦点となります。
 こうした銘柄群は、自由貿易の拡大が商機となります。環太平洋連携協定(TPP)推進への思惑から、倉庫株の三菱倉庫などが着目されたこともあります。半面、今後米国などで保護主義的な動きが強まれば、貿易関連の銘柄にとっては懸念材料として意識される恐れがあるでしょう。

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