政府系銘柄 政府保有株放出で下落リスク

2017/02/15 15:32

神戸新聞NEXT

 今回は、もともとは公営企業で民営化に伴い国などが保有する株式を売却してできた企業に注目してみましょう。交通、通信といった日常生活の基盤を担い、民営化後も国などの関与が残るため「政府系銘柄」と呼ばれます。株式公開時に株価が大きく値上がりするケースも目立ち、新規上場の際には大きな注目を集めます。

 政府系銘柄が一躍有名になったのが、1987年のNTT(旧電電公社)の新規株式公開(IPO)でした。バブル経済の真っただ中だったこともあり、株価は上場後10営業日ほどで公募価格の2倍を超えました。「政府系銘柄のIPOはもうかる」というイメージが一般的になりました。
 その後も、JR各社や郵政関連銘柄などの新規上場が続きましたが、おおむね市場の期待通りに値上がりしました。政府系銘柄のIPOは短期投資で利益を狙う一つの方法かもしれません。
 市場関係者の間では今後の上場が期待される政府系銘柄として、JR貨物や東京メトロ、大阪市営地下鉄などが取りざたされています。
 配当金が比較的安定していることも特徴です。老後資金の運用など長期保有の選択肢の一つにもなるでしょう。
 ただ政府系銘柄ならではのリスクもあります。日本郵政は2015年11月の上場後しばらくは順調に値上がりしましたが、16年に入ると下落傾向に転じました。株式相場全体の軟調さや業績悪化に加え、政府保有株式の追加放出が懸念されました。市場に流通する株式数が増えると値下がりすることが多いため、売り圧力が強まりました。
 実際に約80%を所有する財務省は今年1月、7月以降に追加売却する方針を発表しました。投資家は敏感に反応し、郵政株はさらに下落しました。日本たばこ産業(JT)、NTTの株も政府が30%強を保有しています。売却情報が流れれば下落する可能性があり、留意する必要があります。

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