自動車関連銘柄 米通商政策に注視必要

2017/02/22 16:01

神戸新聞NEXT

 今回は自動車関連銘柄を取り上げます。自動車はさまざまな技術と多くの部品を結集して造られています。そのためトヨタ自動車や日産自動車などの業績や設備投資などの動向は経済や株式市場に与える影響が大きく、常に注目されています。

 消費者の手に自動車が届くまでには、素材メーカーから販売店まで多くの企業が関わっています。裾野が非常に広く、完成車メーカーの収益が悪化すれば、部品メーカーなどの業績にも悪影響が出る可能性が高いのです。逆に鋼材や原油など素材価格の上昇が車メーカーの業績に響くこともあります。
 もう一つの特徴は各メーカーともグローバル展開をしていて、海外事業の比率が高いことです。多くの海外拠点を持ち、現地で生産・販売をしているため、世界経済や為替動向の影響を受けやすく、業績は大きく左右されます。
 投資家が為替市場で円安が進めば自動車株を買い、円高になると売るのは、業績への影響を連想しての行動なのです。
 今、自動車産業は世界的な環境規制の強化や技術革新により、転換点を迎えつつあります。排ガス規制の強化で電気自動車(EV)や燃料電池車などが注目され、IoT(モノのインターネット)や人工知能(AI)の登場により自動運転化の動きが進んでいます。
 最近、自動車業界で異業種も含めた提携が広がっている背景には、こうした世界的な流れがあるからです。自動運転などの実用化には一層の研究開発投資が必要です。このため、今後さらに業界再編や提携が進むことも考えられます。
 ここにきて懸念材料となっているのはトランプ米大統領です。メキシコで生産して米国に輸出するのを批判したり、日本の自動車市場は閉鎖的と主張したりしているため、事業戦略の見直しを迫られるかもしれません。米国の通商政策がどうなるか、注視していく必要がありそうです。

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