毎月分配型 長期的な資産形成に課題
2017/06/21 15:29
神戸新聞NEXT
今回は「毎月分配型」の投資信託を取り上げます。その名の通り分配金を毎月得られるため、年金のように受け取って生活費の足しにしたいと考える投資家に好んで選ばれてきました。ただ長期的な資産形成には課題があり、近年は残高が減少傾向となっています。
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原則的に投信は、決算ごとに運用収益の一部を投資家に分配します。毎月分配型は決算が年に12回あり、分配の頻度が多くなります。このほか年に1回決算を行う年1回分配型などがあります。
多くの投資家が買い求めて毎月分配型投信の純資産総額は膨らみ、投資信託協会によると2014年末に約42兆円に達しました。ただブームは一服し、16年末は約34兆円に減りました。かつては株式投信全体の残高に占める毎月分配型の割合が7割近くだった時期もありましたが、16年末は4割程度になっています。
毎月分配型の問題点として指摘されるのは、毎月決まった額を分配するために元本を取り崩すことがあるということです。運用成績次第では元本が目減りし、意図していなかった投資結果となる恐れがあります。また日本株を投資対象としながら新興国通貨の為替変動リスクを負っているような、複雑な仕組みの投信もありますので、銘柄選びの際は十分な吟味が必要です。
年1回分配型は、毎月分配型と比べると解約までに現金を得る機会は限られます。ただ、収益を頻繁に分配する代わりに再投資に充てるので、運用に回せる資金が増えて将来的により多くの資産を形成できる可能性が高くなります。
14年に始まった少額投資非課税制度(NISA)や、16年から取引が可能になった未成年者対象のジュニアNISAは、長期投資を促す制度設計となっています。17年には、継続的に積み立てる個人型確定拠出年金の加入対象が広がりました。毎月分配型の人気に陰りがみられるのは、こうした制度の広がりも背景にあるようです。