中央銀行の歴史 金融システム安定化へ設立

2017/08/30 14:33

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 中央銀行は、それぞれの国や地域の金融システムの中核となる特別な銀行のことです。商業活動の拡大で銀行が誕生し、経済において金融が重要な役目を果たすようになると、人々は金融システムの安定化を求めるようになりました。このため各国では近代以降、金融システムを守ることを使命とした中央銀行が設けられました。 関連ニュース 中央銀 金融政策で物価安定狙う (2)赤字決算 金融混乱期、理事長に不良債権は前倒し処理 英中銀、2会合ぶり利下げ 4・0%に、経済下支え

 日本では日銀、米国では連邦準備制度理事会(FRB)、ユーロ圏では欧州中央銀行(ECB)がそれに当たります。
 主な機能は三つです。一つ目はその国の通貨を発行することです。日銀の場合、お札(日本銀行券)を発行しています。
 二つ目は「銀行の銀行」としての役割です。銀行など民間の金融機関の資金を預かったり、それとは逆に金融機関にお金を貸したりしています。金融システムが不安定になった際には、銀行に対して救済のための資金を出すこともあります。
 三つ目は「政府の銀行」としての役目です。税金など、政府のお金を管理しています。
 世界のほとんどの国にある中央銀行は、英国のイングランド銀行が原型の一つとなっています。政府への貸し付けを大きな目的として、1694年に民間実業家の出資によって設立されました。
 当初は数多くある民間銀行の一つでしたが、1825年の英国での恐慌を契機に、他の銀行がお金をイングランド銀に預けるようになりました。その後、イングランド銀が通貨を発行し、金融システムが確立しました。
 日本では明治時代に入って政府や各地の国立銀行が、それぞれお札を発行しました。ですが、77年に西南戦争が始まり、その費用を捻出するため大量のお札が発行された結果、物の値段が急に上がるインフレが起きました。
 そこで、82年に一元的にお札を発行することを目的として日銀が設立されました。今でも日本の金融システムの中核を担っています。

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