外国為替市場の歴史 国際政治が相場動かす
2017/10/25 16:08
神戸新聞NEXT
今回は通貨の売買を行う外国為替市場の歴史と、相場が動いた主な出来事について紹介します。
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市場と言われますが、特定の取引所はありません。銀行を中心とした取引参加者の電話や電子機器による結び付きを市場と見立てています。現在では、東京の夜間にはロンドンやニューヨークなどに舞台が移り、平日は取引が24時間続きます。
日本では幕末の開国以降、貿易の拡大に伴って異なる通貨を交換する需要が高まりました。1880年に設立された横浜正金銀行が外国為替の決済業務を担い、対外金融の中核となりました。
日本は第2次世界大戦の終戦後に激しいインフレに見舞われ、連合国軍総司令部(GHQ)の指令に基づいて1949年に1ドル=360円の為替レートが設定されました。その後、しばらく固定相場制が維持されます。
横浜正金銀行の後継に当たる東京銀行などが外国為替取引を行いました。東京銀行は再編を経て現在は三菱東京UFJ銀行となっています。
71年、米国はベトナム戦争の戦費負担などで財政赤字が拡大し、当時のニクソン大統領は金とドルの固定比率での交換停止を発表しました。このニクソン・ショックでドル売りの圧力が強まり、73年には円が変動相場制に移行しました。
85年には日米欧5カ国がドル高是正で一致したプラザ合意により、急速に円高が進みました。
2008年、米証券大手が破綻するリーマン・ショックが起こり、円は一段と上昇しました。11年に円は海外市場で1ドル=75円32銭を付け、最高値を更新しました。13年以降は日銀の金融緩和を受け円安に転じました。
1998年の法改正で個人も自由に外国為替取引ができるようになり、外国為替証拠金取引(FX)の規模が拡大しています。トランプ米政権の混乱や北朝鮮の核・ミサイル問題など、国際政治が相場を動かす傾向があり、投資家は今後も世界情勢に対する深い分析が求められそうです。