商品市場の歴史 利便さ求め先物取引へ発展

2017/11/15 15:10

神戸新聞NEXT

 今回は原油やアルミニウム、大豆、トウモロコシ、金、プラチナなど、資源や穀物、貴金属を主に取引する「商品市場」の歴史を振り返ります。

 大昔、人々は物々交換をしていましたが、貨幣の誕生でモノとカネを交換する「現物取引」が始まりました。
 やがて確実にもうけるために、売り手は早く商品の売却先を決め、買い手は必要な商品をあらかじめ確保したいと思うようになりました。
 この結果、現物の受け渡しより先に、商品の見本などで価格を決めて売買の約束をする「先渡し取引」が普及します。16世紀には、円滑な取引のため、香辛料などの地中海貿易の中継地だったアントワープ(ベルギー)に初の近代的な商品取引所が設立されました。ロンドンなどにも設けられ、利便性から貿易や売買はますますさかんになりました。
 ただ、先渡し取引には契約後に価値が変わってしまうなどのデメリットがあり、これを改良したのが、現在の商品取引の主流を占める「先物取引」です。江戸時代の大阪のコメ取引所で、初めて組織的な取引が始まったと言われています。
 先物取引では、価格が時間とともに変わっていきます。例えば、大豆の先物価格は豊作になりそうだとの情報が伝われば下がり、あまりよい大豆が採れないとの観測が広がれば上がる傾向があります。
 将来の価格をあらかじめ決めておく先物取引は、急激な価格変動を避ける保険のような役目を果たします。また、現物の売買は行わず、「買い」から参加した場合は売り注文を、「売り」から参加した場合は買い注文をする「反対売買」によって、差額を決済することもできます。
 そのため、実際に資源や穀物を扱う業者だけでなく、資産運用目的でも活用できるのが大きな特徴です。現在は、国内取引参加者の大半が運用目的との分析もあります。

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