株式上場 信用向上、資金調達多様に
2018/01/24 11:35
神戸新聞NEXT
今回は、企業が株式市場に上場する意義や基準をみてみましょう。
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大きなメリットは、社会的な信用が高まることです。事前に業績や情報開示に関する証券取引所の審査を受ける必要があり、上場が認められることは経営の透明性や健全さについて、取引所のお墨付きをもらうことを意味します。
資金調達も多様になります。株式市場を通じて幅広い投資家から集められるほか、信用が高まることで、銀行などからの融資もより受けやすくなり、ビジネス拡大につながります。知名度も向上し、人材確保の面でも優位になります。
上場審査の基準を東京証券取引所の例で見てみましょう。
東証1部または2部に直接上場する場合、最近2年間の有価証券報告書などに虚偽記載がないことが条件になります。また、1部の場合、発行済み株式数に株価を掛けて算出する時価総額が上場時に250億円以上あること、株主が2200人以上であることなどが必要になります。2部は時価総額が20億円以上、株主は800人以上です。
新興企業向けのマザーズ、ジャスダックは時価総額などの基準がより緩やかになっています。小規模でもユニークなビジネスを思いついた企業が成功しやすい環境をつくることで、経済を活性化する役割が期待されています。
新規の株式上場は市場が堅調なときに盛んになります。ここ数年の株価上昇を受けて件数は増加傾向にあります。2017年は96社が新規上場し、16年の86社を上回りました。
株式上場はメリットだけではありません。株主から常に株価上昇や配当増のプレッシャーを受けるため、目先の業績にとらわれ、長期的な視点で経営をすることが難しくなる面もあります。
このため、いったん経営陣の判断で自社の株を買い取って非上場企業になり、腰を据えて成長戦略を練り直し、改めて上場するケースもあります。