損益計算書 会社の業績、一目で把握

2018/03/28 11:00

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 今回は財務諸表の中でも参照されることの多い損益計算書を取り上げます。売上高をはじめとする企業の収益から、かかった費用を差し引き、利益を計算した書類です。四半期や1年間といった一定期間の経営成績を示しており、会社の業績を一目で把握できます。 関連ニュース 損益計算書 企業の実力 見極める手掛かり

 日本基準で作成した事業会社の損益計算書を見ると、利益は主に5種類に分かれます。まず、主な営業活動を通じて得た収入である売上高から原価を差し引いたものが「売上総利益」です。粗利益とも呼ばれます。
 次に売上総利益から営業活動で必要な費用を差し引き、本業のもうけを指すのが「営業利益」です。差し引く費用は、販売費および一般管理費と呼ばれます。給与手当や役員報酬といった人件費のほか、広告宣伝費、交際費、通信交通費などの費目が含まれます。
 営業利益に本来の営業活動以外で生じた収益や費用を反映させたものが「経常利益」です。営業外収益には受取利息や雑収入、営業外費用には支払利息や雑支出といった内容を盛り込みます。経常利益から、固定資産の売却などで臨時的に発生した特別利益や特別損失を足したり引いたりしたものが「税引き前純利益」となります。企業によっては、有価証券売却のような要因で一時的に多額の特別利益を計上することもあります。
 さらに法人税などの税金を除いたものが「純利益」です。配当に影響することから、投資家は純利益を重視することが多いようです。純利益から配当に回す割合を指す配当性向の目標を明示する企業もあり、株式投資の参考になるでしょう。
 上場企業が四半期ごとに開示する決算短信は損益計算書などの財務諸表を添付しており、速報性が高いため投資家に重宝されています。証券会社のアナリストらによる市場予想と比べた利益の水準が取引材料となり、決算発表直後は株価が大きく動く場合があります。

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