会計基準 業績を測る共通の物差し
2018/04/18 11:00
神戸新聞NEXT
何かを公正に比べるには、共通のルールや物差しが必要です。会社の業績やお金の流れを示す財務諸表は、過去の業績や他社の業績と比べることができるように「会計基準」という物差しに基づいて作成されます。
会計基準はお金の収支を記録していく中で、商習慣の影響を受けてできたため、国ごとに異なる基準を使って会計処理をしてきました。ですがグローバル化が進み、世界共通の物差しが必要となったため、国際会計基準(IFRS)という新しい基準が誕生し、現在、150カ国以上で使われています。日本では三つの基準が用いられています。多くの会社は日本基準を使っていますが、ソニーやトヨタ自動車など米国の証券取引所に上場している会社は米国基準を適用しています。最近は、海外で事業展開している会社でIFRSを選択するところが増えてきました。
各基準には特徴がありますが、IFRSと日本基準の大きな違いは「のれん」の扱いです。のれんとは、会社が会社の合併・買収(M&A)で支払った金額のうち、買収した会社の純資産を上回った差額のことを指します。M&Aで期待されるシナジー効果といった目に見えないものの価値をお金で表したものです。
日本基準では、のれんの価値は時間とともに失われるとの考えから、20年以内に均等に費用として処理しなければなりません。ですがIFRSでは、のれんの価値が大きく損なわれた時に損失として処理します。そのためIFRSを適用した場合、利益が増える可能性があります。
もともと会計は過去の実績を伝えるだけのものでしたが、将来を見込んで評価するものに変わりました。例えば、持っている株式や土地を「今」売るとどれだけの価値になるかを反映しています。財務諸表は将来という不確実なものを含んだ今を評価しているため、リスクがあることを覚えておきましょう。
◇「もの知り投資学」は今回で終了します。