キャッシュフロー計算書 お金の流れ示す「企業の家計簿」

2018/04/04 11:00

神戸新聞NEXT

 今回は「キャッシュフロー計算書」を見てみましょう。文字通り一定期間のお金(キャッシュ)の流れ(フロー)をまとめたものです。お金がどんな形でいくら入り、どこへいくら出て行ったかを示し、「企業の家計簿」とも呼ばれます。

 「企業の成績表」に当たる損益計算書には、ある期間を対象に、商品販売などに伴う収入のほか、工場建設や人件費、仕入れ代金といった費用が記載されています。しかし、実際の入金や支払いのタイミングが一致しない項目も多く含まれます。
 このため、利益が出ているのにお金が不足してしまって支払いができなくなる「黒字倒産」に陥るケースもあります。キャッシュフロー計算書は損益計算書などの欠点を補い、資金繰りが適切かどうかを判断するのに役立ちます。
 キャッシュフロー計算書は三つに区分されます。商品の仕入れや販売など、本業によるお金の増減を示す「営業」、工場建設など将来に向けた出費を示す「投資」、銀行借り入れといった資金調達や配当金の支払いなどに関する「財務」です。
 「営業」は本業で着実に稼ぐことで、プラスを維持できているかが重要になります。数年にわたってマイナスが続いていれば、ビジネスがうまくいっていない可能性があります。
 企業は投資を通じて事業を拡大するため、「投資」はマイナスになっていても問題はありません。ただ、営業キャッシュフローを上回っている場合には、無理な投資で経営のリスクが高まっている可能性があり、注意が必要です。
 「財務」は資金調達に関する項目です。銀行からの借り入れや株式の発行がプラス要因に、借金の返済や株主への配当はマイナス要因になります。合計がプラスの場合は企業の成長につながる合理的な使い方をしているか、使い道をチェックする必要がありそうです。

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