晩秋から冬にかけて、霧の名所で知られる丹波地域。夜明け前、国史跡の黒井城跡(丹波市春日町)に登る。空が明るくなるにつれ、霧に覆われた眼下の町が刻々と表情を変える。「天空の城」で知られる竹田城跡(朝来市)に劣らず、雄々しい石垣が残る本丸付近からの眺めは美しい。
朝録
(25)エドヒガンの森 川西市
朝日を受け、薄紅の花が青空に映える。桜の野生種エドヒガン260本の大群落が、兵庫県川西市水明台1の猪名川沿い約7㌶に広がる。ここは数年前まで、常緑樹やササに覆われた暗い森だった。光を求めるエドヒガンは背を伸ばし、顔を出せた所で辛うじて花を咲かせていた。この窮地を救ったのが、地元住民でつくる「渓(たに)のサクラを守る会」だった。2008年から間伐に励み、遊歩道を整備した。