震災乗り越え今も伝える神戸の原風景 長田の路地
2018/11/22 05:30
路地には人の営みが刻まれる=神戸市長田区久保町3
路地には表通りとひと味違った人情が息づく。阪神・淡路大震災を経て、長田(神戸市長田区)では、棟割り長屋や碁盤の目のような細道は随分減った。それでも、被害を免れ、再開発から外れた地域には、今も港町・神戸の原風景を伝える路地が残る。「路地ぶら」最終回は、長田区南部を歩き、見つけた心和む下町の光景をお届けしたい。
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同区久保町3。お年寄りがのんびりと歩き、玄関先の鉢植えに目をやる住民の姿に思わずシャッターを切った。
その南に広がる漁師町・駒ケ林は、古い木造家屋が多く残る地域だ。1メートル未満の細道や砂利道、隣との境界線がはっきりしないところなどもざらにある。
突き出すように洗濯物が干され、子どもたちが近くの小さな広場で遊んでいる。路地にとけ込むように立つ昔ながらの駄菓子店。軒先には、インターホンの下に大きなテコがぶらさがっている。何ともほほ笑ましい。
一方で、家屋の老朽化、住民の高齢化は進み、生活との現実は必ずしも調和しない。夕刻。耳を澄ます。家屋から談笑する声が聞こえ、格子戸からは温かい光が漏れる。
人の営みを支え、土地の記憶をとどめてきた路地。「いつまでも残ってほしい」。そんな思いにかられた。(末吉佳希、石川 翠)