「『たくさん飲めば強くなる』はありえない」 バーで学ぶ酒との付き合い

2019/10/30 19:00

シェーカーを振る赤井献治さん。バー初心者でも好みの味を見つけてくれる=神戸市中央区下山手通2、アンダンテ

 20歳になれば、お酒を飲む機会があると思います。大学生の姉は友達に「きついお酒を飲まされないように、カクテルの名前を覚えた方がいい」と言われたそうです。急性アルコール中毒で搬送…なんて話もありますよね? お酒について、どんなことに気を付けたらいいですか?(甲南女子大、Nさん、19歳) 関連ニュース 「八方美人は過酷やで」スナックのママが語る人生論 「飲み代払わない先輩」「せっかくダイエット始めたのに…」 芸人ナオユキさんが答える人生相談 飲酒運転で車と衝突、なんと相手も飲酒運転だった 男女逮捕

■たくさん飲んでも強くなりません
 JR東加古川駅近くのバー「トライベッカ」。日本バーテンダー協会神戸支部長も務めるマスターの大串信也さん(49)が、柔和な笑顔で出迎えてくれた。「若いうちにお酒とのつきあい方を学ぶのは良いことです。女性にとっては『自衛』にもなりますから」
 -お酒に強くなる方法は?
 「日本人の4割は先天的にアルコール分解能力が低いとされています。『たくさん飲めば強くなる』なんてことはありえません」
 -「飲み放題」なんて言われると、つい飲み過ぎてしまいます。
 「居酒屋は甘みをつけたお酒が多く、知らないうちに限度を超えてしまうことがあるようです。若者がノリで行う一気飲みは、命を落としかねない最低の行為です」
 -どうやって「つきあい方」を学べば?
 「ぜひ、バーに遊びに来てください。バーテンダーはプロ。お客さまと会話をしながら、好みの味や強さを導き出します」

 「では、実際にレクチャーしましょう」と大串さん。お薦めの店で飲み方を教わることになり、神戸・三宮のバー「アンダンテ」へ。マスターの赤井献治さん(46)は、三宮の名店「パパ ヘミングウェイ」で10年間修業を積み独立、カクテルコンクール常連の腕を持つ。
 -若者向けに「インスタ映え」するカクテルをお願いします。
 赤井さん「旬の果物を使ったフルーツカクテルはいかがでしょう? シャインマスカットをぜいたくに使った1杯です」
 -まるでパフェだ!
 大串さん「かわいい見た目でも、強いカクテルはありますよ」
 赤井さん「思っているより強いお酒が出たら、無理して飲まずにバーテンダーに言ってください。カクテルは作り直してアルコール度数を下げることができます。お酒の合間に水を飲むのも大切です」
 大串さん「酔いつぶれないよう目配りするのもバーテンダーの仕事。そういう意味で、お客さま側の店選びはとても重要です」
 -酒は適量なら明日への活力、ですね。もう1軒行きましょう!

 やはり、お酒とのつきあい方を学ぶことは大切なんですね。20歳になったら、気をつけるようにします。バーで予想以上に強いお酒が出ても、無理して飲まなくてもいいと聞いて安心しました。出されたものは飲まなきゃ悪い、みたいなイメージがあって。その道のプロの話、早めに知っておいてよかったです! 調査ありがとうございました。(Nさん)

 「アルコール健康医学協会」によると、口から摂取したアルコールは胃で約20%、小腸で約80%吸収される。大部分が肝臓で分解され、血液の循環で脳へと到達する。脳内の神経細胞をまひさせるのが、「酔う」という状態なのだとか。
 飲酒の適量は純アルコール量で男性40グラム、女性20グラム程度とされており、ビール中瓶で1、2本分に相当する。急性中毒を防ぐには食事や会話を楽しみながら、時間をかけて飲むことも重要。体内のアルコール濃度が急上昇する一気飲みはより危険度が高い。

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