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フロントガラスの後ろの三角形の部分が「三角窓」
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フロントガラスの後ろの三角形の部分が「三角窓」

 いまのクルマでは当たり前の装備になったエアコン。これがないと夏はもう乗れませんよね。でも、40年ちょっと前には、エアコンの無いクルマが、夏場には窓を全開にして走っていたものです。ちょっとその頃の様子を振り返ってみたいと思います。

■カー・クーラーが普及したのは、1970年代

 日本で最初のカークーラーは、ヤナセが開発した「ゼネコン」という名前の吊り下げ式のもので、1955年に発売されたのだそうです。吊り下げ式というのは、いまのクルマのようにダッシュボードの中にきちっと組み込まれているタイプではなくて、エアコンの本体をダッシュボードの下に丸ごと吊り下げるような形のものです。また、暖房や冷房の調整ができるエア・コンディショナーといったものではなく、ヒーターとは別に独立した、とにかく「冷やすだけの装置」ということで「カー・クーラー」と呼ばれていました。

 このカー・クーラーが日本で実際に普及してくるのは1970年代以降で、さらにこれがカー・エアコンと呼ばれるものになっていったのは1980年代、そして室温を自動的に調整するようなオートエアコンになるのはさらにその後です。

 筆者は昭和40年代初期の生まれですが、父の運転するマイカーにクーラーが付いたのは小学校高学年の頃でしたから、やはり1970年代半ばですね。その頃は夏になると窓を全開にして走っているクルマがまだまだ多くて、窓を閉めてると「あっ、あのクルマはクーラー付きや」なんて、ちょっとうらやましがられたりするような時代でした。

 時代というと、家庭用のルームエアコンが普及し始めたのも、だいたいこの頃だったような記憶があります。

■クーラー以前の時代に活躍した「三角窓」

 では、カー・クーラーのない時代、夏場のクルマはどんな感じだったのでしょうか。子供の頃とは言え、その時代のクルマを体験していた筆者の記憶では、それはもう、やっぱり暑かったです。

 ただ、その頃のクルマはクーラーがないことを前提に作られていましたから、いまのクルマよりも積極的に走行風を取り入れる工夫がなされていました。中でも一番いい仕事をしていたのが「三角窓」です。これは何かというと、フロントドアに付いてるサイドウインドウの前側に、ピラーに沿って三角形の独立した窓が設置されていたのです。そしてこれが垂直方向の軸でくるっと回って横に張り出すことで、前方からの風を効率よく取り込む仕組みになってたんですね。

 しかしまあ、このシステムも結局は「走っていればこそ」で、渋滞にはまると役に立ちません。後はもう、冬場にヒーターになる送風ファンを回して、車内に生ぬるい風を弱々しく送り込みながら、扇子や団扇でやり過ごすだけでした。いまよりも若干夏の暑さが厳しくなかったのと、あと回りのクルマもエアコンがなくて排熱が来なかったというようなことがあって、なんとか耐えられてたのでしょうね。

■いまの時代、クルマにエアコンがないとかなりきつい…

 20年ほど前、筆者は新古車でとあるフランス車を買ったのですが、これが3年目にエアコンが壊れまして、修理に出したものの直らず、結局その後7年ほどエアコン無しのクルマで過ごすことになりました。幸いヒーターは効いたので冬場はぜんぜん問題なかったのですが、夏場はさすがに辛かったです。なんていうか、いまの時代のクルマですから、エアコンがあることを前提にした作りになってるんですね。たとえば燃費や風切り音の低減のために、ある程度空力を考えたつるんとしたフォルムになっているので、窓を開けてもあまり風を巻き込んでくれないんです。さらに他のクルマはみんなエアコン付きですから、渋滞すると周囲からの排熱で地獄のような暑さです。いや、実際の地獄のことはよく知らないですが。

「もうエアコン直れへんのんやったら代わりに三角窓をつけてくれー」と、当時は切実にそう思いました。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

2021/8/30
 

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