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長引くコロナ禍。海外ではオンライン授業の長期化で、見えないうちにストレスをため込む子どもも出て来ています=Kawee/stock.adobe.com
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長引くコロナ禍。海外ではオンライン授業の長期化で、見えないうちにストレスをため込む子どもも出て来ています=Kawee/stock.adobe.com

パンデミックから1年半が過ぎても収束が見通せない新型コロナウイルスの流行。日本でもデルタ株の流行で感染しにくいと言われていた子どもたちにも陽性者が急増し、都市部を中心にオンライン授業に切り替える学校が出てきています。一方、海外の「オンライン授業先進国」の中では、長期にわたる遠隔授業が子どもの心に大きな負担を与えているケースも。マレーシアと米国で暮らす保護者2人に、現地の実態や子どもへの影響を聞きました。

■1年半に渡る遠隔授業「勉強についてけない」消えた笑顔

【ケース1】マレーシア:中学2年の長女、小学1年の長男の母親

昨年3月から休校となり、しばらくしてオンライン授業が始まりました。対面授業とは違って、1日2教科のみ。それ以外の時間では、教科書を見ながら自習として与えられた課題を解き、先生に写メで送って添削してもらっています。

長女はこれまで学業面では学校で最優秀生徒賞に選ばれるほど優秀で、しっかり者の頑張り屋さんでした。なので、オンライン授業になっても安心して部屋で一人で勉強させていました。でも、マレーシアで感染爆発が起こり、ロックダウン(都市封鎖)となった今年6月以降、長女が家であまり笑わなくなったことに気づきました。

自分の部屋に閉じこもり、これまでは友達とやりとりしていた携帯電話を触ることも怖がるようになりました。じっくりと話を聞いてみると、一部の教科で授業についていけなくなったようです。「今までできていた」というプライドが邪魔をしてか、先生にも親にも分からなくなったことを言えず、ストレスになって鬱とパニックを併発していました。いま、病院にも通っています。

長女は勉強より、友達と話したり、みんなで行事を作り上げたり、部活動に取り組んだり、友達と何かをすることが楽しみで学校に通っていたので、長い間友達に会えないことも大きなストレスでした。

■望む対面再開 勉強よりも「友達と一緒に何かがしたい」

長女の異変に気づいてからは、オンライン授業を一緒に聞くようになりました。子どもが普段どのようなことを学んでいるか、学習の態度や苦手な部分を確認できたのはよかったです。でも、先生によっては授業スピードが早く、復習しないでどんどんと進めていくため、一度つまずくと大変なことになるなと痛感しました。

また、中学生にもなると、全ての子たちがライブ授業の時にもビデオやマイクをオフにしているので、先生から生徒の表情が見えないので、フィードバックもしにくいのではと感じました。

マレーシアでは10月から学校が1年半ぶりに再開される予定です。長女は病院でカウンセリングを受け、友達とも頻繁にやりとりできるようになり、少しずつ元気を取り戻しています。今は学校に行ってみんなと一緒に何かがしたい、と意欲を見せています。

■「家の中を△周!」画面越しに友達と“競争” 低年齢には課題も

【ケース2】アメリカ:高校生の長男(18歳)、中学生の次男(12歳)の母親

昨年3月、住んでいる州で初の感染者が確認され、突然の休校になりましたが、週開けには希望者全員に学校からタブレット端末が貸し出され、オンライン授業に切り替わりました。対応の早さにとても驚きました。授業は対面とほぼ同じで、長男(ハイスクール)は午前7時半~午後1時半、次男(ミドルハイスクール)は午前8時~午後2時まで。授業が始まる前に、担当の先生のコードにアクセスするという手法で授業を受けていました。

正直、学力面で心配はありましたが、数カ月の辛抱だと思っていました。でも、結局、新年度が始まる今年9月までの1年半も続きました。

教材は学校が用意し、保護者が車で取りに行き、ドライブスルー方式で受け取りました。運動不足にならないかという不安もありましたが、体育の授業では「家の中を△周!」とか、「階段の登り下りを□回!」などのお題が出され、腹筋の回数を画面越しでも友達と競い合うなど、先生や生徒同士でコミュニケーションが取られる工夫がされていました。

兄弟は別々の部屋でパソコンの前で一日中授業を受けていました。はじめは隣でサポートしましたが、2人とも自分で学習できる年齢だったので、つきっきりになる必要はありませんでした。でも、知り合いの幼い子を持つ人を見ていると、まず子どもをパソコンの前に座らせることが大変で、保護者も相当なストレスを抱えているように感じました。

■感染の不安と通学時間から解放、増えた睡眠と家族の時間

オンライン授業では、子どもたちが自室にこもってしまうため、何をしているかが、見えにくくなります。先生からも全てが見えるわけではないので、YouTubeを見ながら授業を受けている子もいるという話を聞いたことがあります。

今年3月からは対面授業とオンライン授業を選択できましたが、我が子たちはオンラインを選びました。長男は「オンラインの方が集中できる」、次男は「コロナが怖い」という理由でした。学習面や精神面の不安がなかったわけではありませんが、オンライン授業によって子どもたちが感染する心配はなく健康で安全に過ごせることの方がありがたかったです。

また、通学時間などがなくなったことで睡眠時間が増え、夫も在宅勤務になったため、家族で過ごす時間も長くなりました。ただ、家族全員がずっと家にいて、みんなのスケジュールに合わせた時間で食事を準備する私にとっては少し負担でしたが…。

一方で、共働きの家庭では子どもだけで自宅でオンライン授業を受けることはとても難しい状況と思います。アメリカのように、それぞれの家庭の事情に合わせて、オンラインか対面かを選択できるのが一番いいなと感じます。

◇  ◇

日本でもタブレット端末の配布や校内LANの整備など学校側の態勢が整いつつある今、感染状況によってはオンライン授業が長引く可能性も考えられます。単に決められた学習内容をこなすのではなく、画面越しでも友達同士コミュニケーションが取れるような授業の工夫はもちろん、つまずいた時のキャッチアップや心身を含めたフォロー態勢も整えてほしいもの。さらには家庭の事情に合わせてオンラインか対面かを選べたり、進み具合も一律でなくその子に合わせたり…と、これまでの教室で続いてきた画一的な授業からの「発想の転換」が、何より必要なのかもしれません。

(まいどなニュース特約・斉藤 絵美)

2021/9/17
 

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