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「看板娘」のサビ猫・みーみ
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「看板娘」のサビ猫・みーみ

 佐賀県唐津市の唐津城すぐそばにある「食事・喫茶処 銀河食堂の夜」は築140年の古民家を改修し、今年4月にオープン。炊きたての羽釜ご飯と、地元でとれた季節の無農薬野菜を用いた料理が人気だ。女将の金丸千寿沙さん(34)の飼い猫、サビ柄の「みーみ」(メス、2歳)は顔の半分が真っ黒。「不思議な柄ですね」とよく言われるそうだが、人なつこく、女将が忙しいときは代わって接客。「看板娘」の役目をしっかりと果たしている。金丸さんにみーみとの出会いや店のことなどを聞いた。

 ◇  ◇

 みーみはある小学校近くの店の駐車場の片隅で、数人の小学生たちが親御さんたちには内緒で飼っていた子だったんです。警戒心がなく、誰にでもスリスリする子猫だったため、心優しいその小学生たちは雨に濡れないようダンボールの家を作ってあげたり、おこづかいを出しあってエサを買ったりして、世話を続けていたそうです。

 あるとき、そのことが親御さんの一人に見つかってしまい、そういう飼い方はよくない、じゃあ猫どうする?という話になり、そのことを人づてに聞いた私がその子猫を引き取ることに。いつか猫を飼いたいと思っていたのと、ちょうど飼えるタイミングでもあったんです。

 私がケージを持ってその子を引き取りに行くと、世話をしていた小学生たちは「これで僕たちも助かります」と礼儀よく挨拶してくれて、私とみーみを見送ってくれました。前日、「お別れに」と、はなむけのチュールをたくさんもらっていたようです(笑)。

 お客さんからは「不思議な柄のサビ猫ですね」ってよく言われます。私がみーみの顔を初めて見たとき思ったのは、チョコとオレンジが半分ずつのお菓子『ショコラオランジェ』みたいだなあって(笑)。そこで、最初は「みかん」と名付けましたが、小学生たちが「みーちゃん」と呼んでいたこともあり、「みーみ」になりました。尻尾は鍵しっぽ。お客さんからは「珍しい柄で、しかも鍵しっぽだから、幸運をもたらしてくれるかも」と人気です。

 小さいころから、みーみは初対面の人にでも平気で抱っこされるほどおとなしく、いつも凛としているんです。だから店の看板娘にはぴったり。厨房で私が料理をつくるなどして準備をしている間、みーみは気に入ったお客さんの膝の上に乗ったり、なでられたりして接客してくれていることが多く、すごく助かっています。

 みーみにおやつなどのお土産をわざわざ買ってきてくれる方もいます。私にも饅頭やお酒などを持ってきてくださることもあり、おこぼれにあずかっています。それもみーみのおかげ、ありがたいですね(笑)

■みーみは、一緒に夢を追いかける同志

 私は幼少の頃は両親が共働きだったこともあり、近所に住む祖母にずっとくっついて過ごすおばあちゃん子でした。母親が帰ってくるまでの間、家で「おかえり」と出迎えてくれたり、「うんうん、あんたは間違ってないから大丈夫だよ」と小学校であった出来事を聞いてくれたり。もちろん両親は仕事に、家事、育児にと一生懸命だったと思います。祖母はそんな両親をフォローしてくれていたんです。

 その頃から、和気あいあいと家族みんなで毎日テーブルを囲み、ご飯を一緒に食べたり、「今日こんなことがあったよ」と話をしたり、といった和やかな時間や空間がもっとたくさんあったらいいな、将来はそういう場所をつくりたいなと思うようになりました。

 福岡・糸島の和食店やカフェなどで経験を積み、曽祖母が住んでいた築140年の古民家が空き家になっていたため、ここを改修して店を出そうと思い立ったのが昨年(2020年)秋ころ。今年4月に開業し、羽釜で炊いたご飯と、知り合いの生産者さんたちが育てた無農薬野菜など、旬の食材を使った料理を提供しています。裏で飼っている鶏が産んでくれた卵を使ったり、常連さんが食材を持ってきてくれたりすることもあります。

 店内には、友人たちが店のためにと作ってくれた、絵画や木工のアート作品などもたくさん飾っています。料理も含め、何をどう感じるかは十人十色。「羽釜で炊いたご飯なんて初めて食べた」、「今日、素敵なアート作品と出会ってね」とか、家に帰ったら家族とそんな会話で盛り上がってもらえたら。そうしたきっかけになるような、料理、食器、調度品、アートなど、いろんなものを店内に散りばめているのがこだわりです。それこそ「銀河」のように(笑)。

 店名も仲間たちがいろんなアイデアを持ち寄って、「夜ご飯のお店だから『~の夜』がいいよね」などと、私のためにいろいろと考えてくれて、この店名になりました。特に宮沢賢治の童話と関係があるわけではないのですが、「本当の幸(さいわい)とは」といったテーマや作品の世界観とどこか共鳴するところがあるかもしれません。

 親しい家族や仲間たちが集まって美味しいものを一緒に食べ、ともに語り合い、日々出会う小さな幸せに感謝して、ありがとうの輪が広がっていく場になればと思っています。ここに来たら心が落ち着いてホッとできる空間。そんなお店を目指しています。いつでも帰ってきてください(笑)。

 みーみは、一緒に夢を追いかける同志のような存在。私が忙しく働いていたら、みーみは隣で日向ぼっこしてのんびり寝てたりしてますけど、幸せそうなみーみの姿を見るといつも癒されて、頑張ろうって思えます。これからも女将と看板娘コンビで、お客さんを喜ばせていきたいです。

【店名】「食事・喫茶処 銀河食堂の夜」
【住所】佐賀県唐津市東唐津2-2-21
【インスタグラム】@gingasyokudo_no_yoru

(まいどなニュース特約・西松 宏)

2021/11/3
 

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