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職員が手作りしてくれた木樽の小屋でお昼寝するニャータ
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職員が手作りしてくれた木樽の小屋でお昼寝するニャータ

 JR別府駅から車で約15分。大分県別府市の別府ロープウェイの麓の駅、別府高原駅に1匹のサバトラ猫が居つき、話題になっている。名前は「ニャータ」(オス、推定3~4歳)。同駅の入口には「ニャータ駅長室」と書かれた木樽の小屋が設置され、これからロープウェイに乗り込む観光客をお出迎え。「猫駅長」が鶴見岳の紅葉を楽しみに訪れるお客さんたちを笑顔にしている。

 ニャータが初めて現れたのは2019年3月ごろ。別府高原駅の向かいにある物販施設・九州焼酎館の事務所あたりで姿を見かけるようになり、職員がエサをあげていた。初めて緊急事態宣言が出た昨年4月、九州焼酎館とロープウェイの営業は約1カ月間休業に。ただ、駅には休業中も一部職員が出勤していたため、ニャータは駅近くまでやってきてエサをもらうようになり、居ついたという。

 ニャータの世話をしている職員の高瀬沙唯捺さん(24)は「自宅で5匹の猫を飼っている」という猫好き。ニャータと初めて会ったころをこう振り返る。

 「当初はさわらせてくれず、警戒していたんですが、エサをあげるときはできるだけ怖がらせないよう座って静かに近づき、やさしく声をかける、といったことを職員みんなで気をつけてやっていたところ、1カ月ほどすると次第に距離が縮まってきて、なでさせてくれるようになりました」

 別府高原駅はペットの持ち込みや乗車は禁止のため、ニャータが施設内に立ち入るのは厳禁。ニャータが入れるのは駅入口の自動ドアの手前までだ。そこには職員が木樽で手作りした「ニャータ駅長室」と書かれた小屋と、高瀬さんら職員がこれまで撮りためてきた写真をまとめた「ニャータBook」が置いてあり、お客さんはここでニャータとふれ合える。

 今年8月、広報担当の藤内久美子さん(60)が、ホームページにニャータの写真を初めてアップしたところ、地元の新聞やテレビで取り上げられ、一躍人気者に。感染防止対策としてゴンドラ内(最大定員101人)が密にならないよう、感染状況に応じて乗車できる人数を制限している(10月30日からは定員の半分程度)ため、待合中の乗客にとってはニャータの写真を撮ったりなでたりする機会が増え、SNSで紹介されることも多くなった。

 ずっと通い猫だったが、1カ月前からは飼い猫になった。「これから寒くなりますし、ニャータは車が通っても逃げないので、責任を持ってきちんと飼育することにしました。敷地内の建物にニャータのトイレや寝場所を設け、営業が終わったらそこに入れて帰るようにしています。18時から朝9時前に職員が出勤するまでは、その建物内で快適に過ごしています」(藤内さん)。体調が悪いときなどは高瀬さんが動物病院へ連れていく。

 中にはこんなお客さんもいたという。「ある男性が心折れて、ここにやってきたとき、駅の前のベンチに座っていると、ニャータが自分から男性の膝の上に乗ったそうなんです。それで、その方は元気を取り戻し、帰っていかれたとのことです」(高瀬さん)。

 昨春以来、コロナ禍でインバウンドをはじめ来場者は激減しているが、「ニャータが現れてから、職場の雰囲気が明るくほがらかになった」と藤内さん。「ニャータはおとなしく、なでられても嫌がらないので、なるべくストレスがかからないよう、常に職員の誰かが気を配っています。今はまだ「仮駅長」ですが、ゆくゆくは正式な駅長にしてもらえるかも(笑)」とほほえむ。

 別府高原駅からゴンドラに乗ると、鶴見山上駅(標高約1300メートル)までは約10分。鶴見岳山上からは別府湾や由布岳、九重連山などが一望できる。11月下旬にかけては紅葉が見頃。また、別府高原駅のすぐ隣にある「四季の里 鶴見岳自然公園」では、フユザクラと紅葉のコラボも楽しめる。この秋、深まる紅葉とニャータ駅長に癒されに出かけてみては。

(まいどなニュース特約・西松 宏)

2021/11/7
 

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