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やっぱり暖かいおうちが一番だニャ
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やっぱり暖かいおうちが一番だニャ

 東京・練馬区大泉町から墨田区緑まで、最短ルートで検索しても20キロを超える距離を旅した猫がいます。金子幹司さんの愛猫・ケイくん。引っ越して間もない新居から脱走したのは3歳のときでした。

 ケイくんが行方不明になったのは2018年9月2日。金子さんは警察や保健所などに届出するとともに、ペット探偵に捜索を依頼しました。迷子チラシ1万枚を印刷し、新聞の折込や近くの動物病院、コンビニエンスストアなどへの掲示をお願いして…でも、ケイくんにつながる有力な情報は入りませんでした。

 次なる一手を考えた金子さんは『迷子猫.NET』という迷子掲示板サイトに登録します。インターネットを通じて多くの人の目に留まることを期待したのですが、こちらも情報は入らず。1か月が過ぎ、2か月が過ぎ…とうとう年を越したとき、さすがの金子さんもあきらめかけたと言います。

 ところが1月下旬になって、『迷子猫.NET』にケイくんと思われる猫の情報が投稿されているのを見つけました。投稿日は1月11日、投稿者名は“ジャイアンツ”さん。前年12月15日に東京港ターミナル近くの工事現場付近で、首輪をした飼い猫と思われる猫を見たという内容でした。

 練馬から東京港?金子さんはわが目を疑いましたが、ケイくんは茶白の柄に特徴があり、鈴の付いた首輪も間違いなくケイくんのもの。すぐジャイアンツさんに連絡を取ったものの、すでに時間が経過しており残念ながら発見には至りませんでした。

■大雪直前に保護

 さて、ケイくんはどうしていたかと言うと、墨田区に住む山本香奈子さん(仮名)宅に“居候中”でした。2月4日夜に保護されたのです。

「仕事から帰宅したら、どこからか猫の鳴き声が聞こえました。必死に鳴いている感じでしたし、その日は夜中から大雪予報だったので、見つけて助けなきゃと」(山本さん)

 探していると、若いサラリーマン風の男性が茶白の猫に食べ物をあげていました。聞けば、鳴いている猫が気になって近くのコンビニでオヤツを買ってきたと言います。ただ、連れては帰れないと。もともと猫が好きで飼っていた山本さんは保護を申し出、家からケージを持ってきて捕獲しました。

「死んじゃうんじゃないかと思うほどフラフラだったけど、ごはんはめちゃくちゃ食べましたね。余程お腹がすいていたんでしょう。かなり痩せていましたし、肉球はひどい凍傷で。夜中から本当に雪が降ったので、あの日保護できていなければ命はなかったかもしれません」(山本さん)

 翌日病院で検査を受け、高栄養のごはんをもらって見る見る回復したケイくん。先住猫に興味を持ち追いかけるほど元気になりました。

■ネットの力で迷子猫発見!

 保護当日、山本さんは『ネコジルシ』という猫好きが集まるSNSコミュニティにケイくんのことを投稿しました。

「首輪をしていたし、人にも馴れていたので飼い猫だろうと思ったんです。でも何の反応もなくて、病院の先生には『捨てられたのかもしれない。首輪を着けたまま捨てる人もいる』と言われました。でも、私になついてくる姿を見て絶対にかわいがられていたはずだと。そんなとき突然“パパ”から連絡が来たんです」(山本さん)

 山本さんが“パパ”と呼ぶのは金子さんのこと。ケイくんのパパだから親しみを込めてそう呼んでいます。「うちの子じゃないかと思います」--メールの文面を読んで、山本さんはうれしさのあまり職場で人目もはばからず泣きました。

 それから連絡を取り合い、金子さんとケイくんは3月2日に半年ぶりの再会。「猫らしく“しれっと”していましたけど(苦笑)、元気な姿を見てホッとしました。ネットの力を実感しましたね」と金子さん。実は、山本さんの投稿を見つけたのは金子さん自身ではなく、『迷子猫.NET』と『ネコジルシ』の両方を閲覧していたハンドルネーム“hana”さんが、「ネコジルシで保護されている子ではないか」と、『迷子猫.NET』のジャイアンツさんの投稿にコメントを寄せてくれたのです。

「私は『ネコジルシ』を見ていなかったので、教えてもらわなければ分かりませんでした。両方の写真は結構違うのに、本当によくhanaさんが気づいてくださった。いろいろな偶然が重なり奇跡が起こったような結果となりましたが、一番感謝しているのはやはり保護して献身的に看病してくれた香奈子さんです。もし私の目の前に同じような迷い猫や迷い犬がいたら、まず保護することが今回かかわってくださった皆さまへの恩返しだと思っています」(金子さん)

■トラックの荷台で東京横断?

 ところで。ケイくんはどうやって東京を横断したのでしょうか。金子さんと山本さんは「トラックの荷台に乗ったんじゃないか」と推察しています。暖を取るために荷台へ乗ったら、そのトラックが走り出して東京港へ向かった? 東京港から山本さんの家までは徒歩? 謎は謎のままですが、やさしい人たちに見守られ、ケイくんの“大冒険”は幕を閉じました。

「こんな遠くで見つかることもある。だからあきらめずに捜してあげてほしい。迷子を捜している飼い主さんがこの記事を読んで希望を持ってもらえたらと思います」(山本さん)

(まいどなニュース特約・岡部 充代)

2022/1/3
 

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