その使い方大丈夫?寝ていた布団の上にタンスが!地震相次ぐ日本列島「もしも」に備えた突っ張り棒 正しい使い方は
2022/04/07 21:00
タンスが完全に寝ていた場所に…(マヒロッツォさん提供)
東北地方を襲った最大震度6強の地震から間もなく1カ月。SNSでは布団の上にタンスが倒れ、危機一髪だった…というような投稿も話題を呼びました。日本各地ではこの1週間に震度4以上の地震が8回も観測されるなど、地震が相次いでいます。実は、地震による人的被害の多くは「家具や家電の転倒によるもの」。頼みの綱の一つが突っ張り棒ですが、それも間違った使い方では効果が激減するのだそう。メーカーに聞きました。
■布団の上にタンスが…九死に一生「怖かった」
「もし就寝していて、直前の震度4が無くて、いきなり震度6来てたら、死んでました」
3月16日午後11時36分に起きた最大震度6強の地震の約1時間後、布団の上に覆いかぶさるように倒れた、見るからに重そうなタンスの写真とともにつぶやいたのは仙台市在住のTwitterユーザー、マヒロッツォ(@ShizuAg)さん。またたく間に13.8万いいねが寄せられ、阪神・淡路大震災など過去の地震を体験した人たちからもコメントが寄せられました。
マヒロッツォさんに聞きました。
-状況を教えて頂けますか?
「11時半過ぎに布団で寝ようとしていたら、最初の震度4の地震が起きました。湯沸かし器や加湿器に水が入ったままのことを思い出して、揺れている中、慌てて2つを抱えて流しに持っていきました。水を捨て終えてホッとしたところで、再び揺れ始めました。それが震度6です」
「昨年2月に起きた強い地震の際に、冷蔵庫の上に置いていた炊飯器がふっとんだことを思い出し、炊飯器を抱えながら震度6の揺れに耐えていました。初めて体験した揺れでもうこのまま終わるのかと思いました。揺れが収まったあと、部屋を見回すと布団の横にあったタンスが、布団の上に倒れていました」
-いつもこの布団で寝ておられたんですよね。
「はい。いつも写真の、タンスが倒れていた場所で寝ていました」
-タンスの耐震対策は?
「突っ張り棒はしていませんでした。ですが、タンスや本棚の下には滑り止めの敷パッドを差し込んでいたり、重いものを下に置くようにはしていました。突っ張り棒は翌日にすぐ買いに行きました」
-このタンス…かなり重かったのでは…
「重かったです。改めて大変危険なところで寝ていたのだと痛感しました。また、タンスの引き出しについている金具が衝撃で壊れてしまい、収納するのに苦労しました。それと、寒さに弱い植物を4鉢、冬期の間だけ室内で育てていたんですが、そのうちの1鉢の砂が盛大にこぼれていました。畳の部屋なので、細かい砂がイグサのすき間に入り込んでおり、箒で掃ききってもざらざらが残っていて気持ち悪かったですね」
■見落としがちな家具の対策
マヒロッツォさんは静岡出身で、4年前に仕事の都合で仙台に引っ越したといい、東日本大震災の時は高校生だったそうです。静岡では近い将来起きるとされる南海トラフ巨大地震を想定し、小中高での防災教育が熱心に行われ、マヒロッツォさんも小学生時代、防災新聞を全員作成したといい、普段もスリッパ、懐中電灯、非常食を手の届くところに置き、浴槽に水をためるなどの対策をしていたそうです。
ただ、突っ張り棒だけはしていなかったといい「ほんと恥ずかしい限りです」といい、「ツイッターを10年以上やってきましたが、ここまで大勢の方々に見られたのは初めてです。不幸中の幸いでなんとか生き伸びることができました。私の写真から少しでも皆さんの防災意識が高まればいいなと思います」と話してくれました。
ちなみに、その後、寝室に高い家具を置かないよう、断捨離をしたそうです。
ただ、その頼みの突っ張り棒も、付け方によっては効果が薄れ、最悪の場合、外れてしまうことすらあるのをご存じでしょうか。日本で初めて突っ張り棒を開発し、「つっぱり棒研究所」や「超ラク防災」というホームページを開設して正しい使い方の普及に努めている、平安伸銅工業(大阪市)に聞きました。
■真ん中や手前に付けるのはNG
-正しい転倒防止のつっぱり棒(耐震ポール)の使い方は?
「重要なのは、家具の上面に取り付ける場所です。家具は構造上、端の部分に一番強度があるので、突っ張り棒も家具の両端に1つずつ取り付けましょう。そして、どちらも壁の近くになるよう奥側に取り付けることが大切です。家具の重心移動を抑えて、前に転倒することを防止できます。もし家具の真ん中で、かつ壁から離れた手前の方に耐震ポールをつけている場合は、すぐに付け直しを検討しましょう」
「また、天井には十分な強度が必要です。どうしても強度が足りない場合は、竿縁にかかるよう天井と耐震ポールの間にあて木をして補強することもおすすめです。耐震ポールと家具の下に敷く耐震ストッパーを併用すると、さらに効果的にご使用いただけます。 東京消防庁でも推奨されている方法なので、大きい家具などにはぜひご活用ください」
-真ん中に付けるのはダメなんですね。
「そうなんです。ただ、SNSやユーザーさんとのコミュニケーションを通して、まだまだ転倒防止突っ張り棒を正しく使っていただけていないケースがよくあることや、地震が起こった”後”に商品について多くお問い合わせいただくこともありました。メーカーとして、皆さまへの情報発信がまだまだ足りていないと感じました。
-そこで、「つっぱり棒研究所」や「超ラク防災」のページを?
「はい。『“もしも”に備えるお手伝い』として、何かが起こる前に対策の行動をしておくことや、突っ張り棒といった防災商品を正しく使うこと、そして防災に関する情報を迷わずに多くの方に知っていただくことを中心に、情報発信を行っています。日々の暮らしを今より少しでも安心にお過ごしいただけるよう、まだまだこれからの状態ではありますが、今後も活動を続けてまいります」
■選ぶなら「長い方」。インテリア性の高い商品も
同社によると、大きめの地震がおきた後は問い合わせや販売量が増えるといい、すぐに在庫不足になることのないよう、平時から在庫を多く確保し、供給体制を構築しているのだとか。
気になるお値段と性能ですが、「耐震ポールについては、サイズが最優先になります」と担当者。例えば70cmのところに取り付けたいけど、[50~75cm]と[65cm~100cm]の商品、どちらの商品を選ぶべき?といった場合は[65cm~100cm]を選んでください。ポールをなるべく伸ばさずに使うことでより効果が発揮できるので、長さに余裕がある方が安定して利用できるのだといいます。
突っ張り棒は見栄えが気になるという人もいるため、近年はインテリアに馴染むインテリアタイプの販売もスタート。担当者は「長く使えるものですので、機能や見た目、自分のこだわりにあったものという観点で選んでいただければ」と話します。
正しく備え、命を守るために-。同社の3代目で「つっぱり棒博士」としても活躍する竹内香予子社長は、昨年末、防災士の資格も取得。今回の東北の地震で被害に遭われた方へのお見舞いを述べるとともに、こうコメントしてくれました。
「近年の地震で人的被害の原因で一番多いのが『家具・家電製品の転倒』です。日本で暮らす限り地震の発生は避けられませんが、正しく備えることで被害を減らすことは可能です。一人でも多くの方に、正しい家具固定を実践していただき、安全な室内環境を実現していただきたいです。今回の記事もご参考にしていただけますと幸いです」
(まいどなニュース/神戸新聞・広畑 千春)