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保護した子猫の遊び相手をしてくれる
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保護した子猫の遊び相手をしてくれる

■野良猫をTNR

にゃんきちくん(3歳・オス)は、2020年4月、大阪府に住む智さんの家の近くにふらっと現れた。たくさんの猫の里親になっている智さんは、「耳カットをしていないから去勢していない。TNRしよう」と思ったという。

野良猫だったので警戒心を解くためにごはんをあげたが、にゃんきちくんはシャーシャーと空気砲を炸裂させた。2020年6月、去勢をして元いた場所に戻したが、その後もにゃんきちくんは智さんの家の周辺にいて、ごはんを食べに来たそうだ。

■すっかり懐く

にゃんきちくんは、ごはんを食べに来るのだが、なかなか智さんに近づこうとしなかった。

「でも、なんか可愛くて、チュールを使って呼んでみたり、わざと私の近くにごはんを置いてみたりしました。そのうちどんどん距離が近くなってきて、にゃんきちは我が家から離れなくなり、いつも周辺にいるようになりました」

にゃんきちくんは、智さんや夫が帰宅すると、どこからともなく「にゃーん」と言いながら走り寄ってきてスリスリした。智さんはにゃんきちくんのことが心配でたまらなくなったという。

「事故に遭わないかとか、どこかから落ちて怪我でもしてないかとか、他の猫と喧嘩して怪我をしていないかとか。夜も何度も外に出て、にゃんきちと一緒に遊びました。少しでも姿が見えないと心配で、いつか保護しなければいけないと思うようになりました」

■「手が痛いよ」

秋が来て、冬になり、寒さが厳しくなってきた。智さんはにゃんきちくんが少しでも暖かく過ごせるよう、家の周辺に「にゃんきちハウス」というベッドを3つ設置した。

「ダンボールやクッション、カゴを使ってハウスを作り、湯たんぽと毛布を入れ、どこで寝ても暖かく過ごせるようにしました。それでも心配で玄関にもベッド置いたのですが、私が帰宅するとついてきて、そのベッドで過ごすこともありました」

智さんは、このまま玄関を閉めたらうちに居着いてくれるかもしれないと思ったが、にゃんきちくんは何か気配を感じると、すぐに外に飛び出していった。

2020年12月21日の夜、にゃんきちくんがやってきて「手が痛い」と訴えた。

「右前脚を上げて、びっこを引くように歩いていました。ご飯も食べず、玄関のベッドに横たわったまま動きませんでした」

智さんはケージを組み立てて、そこににゃんきちくんを入れた。嫌がるかもしれないと思ったが、そのまま朝まで寝ていたそうだ。

「明日病院に連れて行こうと思いましたが、その後どうするかが問題でした。その時、我が家には猫が11匹いたんです。子猫ならともかく、大人猫をみんなが受け入れてくれるのかどうか心配でした」

病院で診てもらったが、にゃんきちくんに異常はなかった。

「再びにゃんきちを外に出したら、また毎日心配しないといけない。手が痛いと訴えてきたのも何かの縁。もう外には出さないと決めました」

■おうちがいいにゃ

にゃんきちくんはエイズキャリアだった。智さんはエイズキャリアの猫を飼っていたことがあるので、ある程度知識はあった。しかし、ノンキャリアの先住猫と一緒に暮らせるのかどうか分からなかった。ボランティア仲間に相談すると、「エイズキャリアの子こそ、おうちで過ごさせてあげてください」と言われた。外の世界だと長生きできないが、家で過ごすと発症することなく生涯を閉じる子も多いということだった。

智さんはにゃんきちくんの家猫修業を始めた。そばにいられる時は先住猫と一緒に過ごさせた。フリーにするまで3ヶ月ほどかけたという。にゃんきちくんは誰ともケンカをせず、折り合いをつけて暮らしていた。これならやっていけると智さんは思った。ただ、先住猫の大福くんは、にゃんきちくんに怒ることがあり、それだけはどうしようもない。

「にゃんきちは怒られてもやり返さず、じっと耐えています。どうも大福はにゃんきちの鳴き声が気に入らないようなんです。にゃんきちは、『パォーン』と象みたいに外に向かって鳴くんです」

にゃんきちくんは玄関から出入りしていたので、どうしたら外に出られるのか知っている。しかし、出ようとすることはないという。

「外で生活していた子がおもちゃで遊んだり、お布団で寝ていたりする姿を見ると、幸せな気持ちになれます。にゃんきちが、『おうちがいい』と思ってくれているのなら、いいなと思っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

2022/7/10
 

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