京都市動物園で愛されたゲンタロウは上野動物園に移動した
京都市動物園で愛されたゲンタロウは上野動物園に移動した

ゴリラの背中の筋肉が立派すぎるとSNS上で話題になっている。

京都市動物園のX公式アカウントが動画で紹介したのは、枝を食べているゴリラのゲンタロウの背中。広い背中には複雑に盛り上がった筋肉が輝いており、たくましいの一言。人間はジムに通い厳しいトレーニングを重ね、食生活も改善してやっとマッチョになれるのに、ゴリラは一体どうやって美しい筋肉を育てているのか。

話題になったゴリラは上野動物園に引っ越し、現在まだ非公開。京都市動物園在籍時代に担当していた安井早紀さんにお話を聞いた。

ー人間だと相当鍛えないとこうならないと思うのですが、ゴリラは自然にこうなるんですか?

安井:成長と共に、ある程度は背中の筋肉も発達してきます。当園では柱や梁はもちろん、グラウンドの天井の上にエサを撒いて柵から登らせたり、地面を移動するだけでなく、上下運動や天井の柵をヒトでいう“うんてい”をするような動きで移動することで、背中の筋肉の発達に役立っていると思います。

ー食生活も筋肉に良いものなんですか?

安井:当園のゴリラたちの主な餌は草や枝葉、葉物野菜など。野生ではアリなどの昆虫を食べることもありますが、ほぼ100%草食なんです。ゴリラたちは、ヒトとは違い、植物の組織からタンパク質の元となるアミノ酸を作れる腸内細菌を持っているので、肉を食べなくても筋肉が育つんですよ。

ーゲンタロウは10月27日に繁殖のため上野動物園に移動したとのことですが。

安井:ゲンタロウは、母ゲンキの母乳の出が悪く、生後10カ月半までは人工哺育で育ったこともあり、多くの職員にとって思い入れのあるゴリラです。顔立ちも優しく少し幼い感じだし、ヒトに対してもフレンドリーな性格で、来園者からも人気です。私自身もたくさんの思い出があり、これまで当たり前のように一緒にいたゲンタロウがいなくなるのは寂しいです。でも今回の移動はゲンタロウにとって、新たに自分の群れを持てる良い機会。どんな状況でもゲンタロウらしく幸せに過ごしてもらいたいですね。

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SNSでは「なんで肉を食わずにこんな身体が出来上がるのか不思議」「全トレニーの憧れ」「立派なシルバーバック」「上野動物園に行っても見守りたい」などの反響が寄せられた。ゲンタロウは検疫期間終了後に公開予定。背中の筋肉美が東京でも注目されるのが楽しみだ。

(まいどなニュース特約・米田 ゆきほ)