実家への距離が子育てや日常生活に与える影響は? ※画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)
実家への距離が子育てや日常生活に与える影響は? ※画像はイメージです(metamorworks/stock.adobe.com)

共働き世帯の増加や地方の過疎化(都市部への人口集中)を背景に、子育て世代が日常的に実家に頼ることが難しいケースが増えているといいます。株式会社エムフロ(東京都渋谷区)が運営する総合型クラウドソーシングサービス『クラウディア』が実施した調査によると、8割以上が「実家との距離は子育てのしやすさに影響がある」と回答したことがわかりました。では、実家の近さ・遠さが子育てや日常生活にどのような影響を与えているのでしょうか。

調査は、実家と離れて子育てをしている全国の20~50代以上の男女300人を対象として、2025年8月にインターネットで実施されました。

まず、「実家との距離」を聞いたところ、「隣接自治体(30分~1時間以内)」(23.7%)や「片道2時間以上」(23.3%)、「片道1~2時間程度」(21.0%)が上位となった一方、「徒歩圏内(~15分)」(12.7%)は1割程度にとどまり、実家が「気軽に行ける距離」にある家庭と、「気軽に行けない距離」にある家庭に大きく分かれることがわかりました。

また、「実家に帰る頻度」については、「2~3カ月に1回程度」(23.7%)が最多となった一方で、「年に1回未満」(10.0%)や「年に1回程度」(9.7%)と回答した人も約2割を占め、実家との距離や生活環境によって帰省頻度に大きな差がある様子が見て取れます。

そこで、「実家との距離は子育てのしやすさに影響を与えると思いますか」と尋ねたところ、8割強が「影響がある」(非常に影響があると思う40.7%、ある程度影響があると思う43.3%)と回答し、子育て世代にとって実家の存在がいかに大きな意味を持つかが浮き彫りになりました。

「実家が近ければ特に助かると感じること」としては、「子どもの預け先(保育代わり)」(44.0%)が最も多く、次いで「精神的な安心感(気軽に会えること)」(17.7%)、「自分の通院・体調不良時のサポート」(16.3%)が続き、子育てや家事の負担軽減において実家のサポートが大きな役割を果たしていることがうかがえました。

回答者からは、「仕事を抜けられない時に子どもの迎えを代わりにしてもらえた」(20代女性)、「干渉を感じることもあるが、育児サポートをしてもらえるのは助かる」(40代女性)、「子育てをかなり手伝ってもらえるので、この先実家から離れて生活するなんて絶対無理」(30代女性)といった声が寄せられたほか、「頻繁に孫に会いに来られるため自分たちのペースが乱される」(40代女性)、「こちらの都合を考えずに干渉されることがある」(50代以上男性)などの声も聞かれました。

反対に、「実家が遠いことで最も困った経験」として多く挙がったのは「自分や家族の体調不良時に頼れなかった」(23.7%)、「出産・育児でサポートが受けられず大変だった」(14.3%)、「孫と祖父母の交流機会が少なく申し訳なかった」(13.3%)といった意見が挙がった一方、「その他/特にない」(24.0%)が最多となりました。

なお、実際に遠距離の回答者に限定すると、多くが「体調不良時」や「育児サポート不足」、「帰省費用」など具体的な不便を挙げており、実家との距離が日常生活や子育ての安心感に直結していることが確認できました。

回答者からは、「義理の実家も同じくらい近くはないので、変に育児に干渉されず、のびのび育児ができている」(30代女性)、「両親が体調を崩した時に、すぐ駆けつけられず不安だった」(40代男性)、「子どもが一人のときは新幹線で帰省できたが、2人、3人となると車移動になり負担が大きくなった」(40代女性)、「子どもが急に熱を出した時、実家が近ければ預けられたのにと何度も思った」(30代女性)などの意見が目立ちました。

最後に、「実家との理想的な距離」を聞いたところ、「同一市区町村内(徒歩圏外)」(34.7%)、「徒歩圏内(~15分)」「隣接自治体(30分~1時間以内)」(いずれも27.0%)が上位となり、“近すぎず遠すぎない”距離感が、最も現実的で望ましいと考えられていることがうかがえる結果となりました。

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【出典】
▽クラウディアアシスタント