移動教室の授業をついサボってしまった岡田(柏木大樹さん提供)
移動教室の授業をついサボってしまった岡田(柏木大樹さん提供)

学生時代、「授業をサボりたいな」と思ったことがある方は多いでしょう。しかし実際にサボるのはなかなか難しいものです。X(旧Twitter)に投稿された柏木大樹さんの作品『サボり』では何気なく授業をサボった生徒と、偶然出会った先生との不思議な邂逅が描かれています。

主人公であり、学校の生徒の岡田は、ある日なんとなく授業をサボります。初めてのサボりに「落ち着かないな…」と思いながら階段に座っていると、さっそく先生に見つかってしまいます。

お互いに名前を知らなかったため、岡田はふとイタズラ心から校内で有名な怪談話「10年前に階段から転落して死んだ生徒」の幽霊を演じてみることにします。

すると先生は、思いのほか素直に信じてくれました。そして「僕と遊んでよ」とイタズラを続ける岡田の提案に、先生は授業の準備を後回しにして、ともに過ごすことになったのでした。教室で上靴を脱いでスケートのように滑ってみたり、体操座りのような体勢でお尻を支点としてクルクルと回る尻スピンをしたり、普段出来ない遊びを楽しむのでした。

さらに他の先生を意味もなく尾行したり、パンの買い食いをしたりと2人は自由に過ごします。

先生が「幽霊ってパン食うのか…?」と首をかしげている中、岡田は奇妙な感覚を覚えます。まるで自分が『誰か』になりきったように、台詞がすらすらと出てくるのです。そして岡田は「また遊ぼうね鶴田くん」と、名前も知らなかった先生を『くん付け』で呼んでしまいました。

授業の終わりを告げるチャイムが鳴った時、先生は突然「うわあ!お前2-Cの岡田じゃないか!」と驚きます。実は、10年前に亡くなった生徒と先生は親しい友人同士だったのです。先生には、かつて発作を起こして階段から転落した友人を助けることができなかった過去がありました。

そして先生には、岡田がずっと阿部の姿で映っていたのです。岡田は「授業をサボった時点で憑りつかれていたんだろうか…」と考えながら、先生に『急な体調不良で休んだ』ことにしてもらうのでした。

そんな日常と怪談が交錯する同作について、作者の柏木大樹さんに話を聞きました。

■「真面目な子が衝動的にサボる」をテーマに描きあげた

-作品を創るにあたってなにかきっかけはあったのでしょうか。

真面目な子がふと衝動的にサボってみる話を何かで読むか見るかして、その原因が幽霊だと面白いかなと思い、そこに先生も巻き込んでサボったら絵的にも愉快かなーという感じで描き始めました。

-柏木さんは自身の学校で怪談話を聞いた、幽霊を目撃したなどの経験などはございますか。

具体的に遭遇はしてませんが、当時の学校の怪談ブームなどの影響で、学校のトイレや教室で一人になると「何か出るんじゃないか」と怯えていました。大人になった今でもそのシチュエーションになったらビビると思います。

-最後に伝えたいことなどありましたらお願いいたします。

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(海川 まこと/漫画収集家)