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ことばの力

(1)明治維新に匹敵する激変 IT誘発 ビッグバン
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神戸市中央区二宮町、啓文社印刷工業(撮影・峰大二郎)【一語一会】
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神戸市中央区二宮町、啓文社印刷工業(撮影・峰大二郎)【一語一会】

神戸市中央区二宮町、啓文社印刷工業(撮影・峰大二郎)【一語一会】

神戸市中央区二宮町、啓文社印刷工業(撮影・峰大二郎)【一語一会】

 言葉が生まれる。

 12月。書店に「三省堂国語辞典」の新版が並んだ。新語の収録が話題を呼ぶ。

 スマホ、ブラック企業、鉄ちゃん、ゆるキャラ…。ここまでは多くの人が知っている。リュスティック、コモディティー…となると、ちょっと怪しいかも。

 6年前の旧版から、増えた単語は約4千語。全体では過去最多の8万2千語に達した。

 「2000年ごろから、言葉の総数が爆発的に増えた。明治維新の時代に匹敵する激変に違いない」

 日本語学が専門の武庫川女子大学言語文化研究所の佐竹秀雄所長(66)は、驚く。

 19世紀の後半。西洋から入ってきた文化や概念が起爆剤となった。哲学、家庭、工場、郵便、社会…。近代国家の誕生が、多くの新語を生んだ。

 現代。新たな導火線となったのは、インターネットの普及に象徴されるIT革命。増殖と拡散。「言葉のビッグバン(大爆発)」が起きている。

   ■  ■

 言葉が変わる。

 「壮大な実験台」。三省堂辞典の編さんに携わった国立国語研究所の山崎誠准教授(56)は、ネット世界の表現に注目する。「みんなが日本語の潜在能力に挑戦している」

 「激しい」の用例として加わった「激しく同意する」。他人の書き込みに強く共感する言い回しとして頻繁に使われている。略して「禿同(はげどう)」なんて当て字も登場した。

 「リア充」「上から目線」「www」なども新版からお目見えした。「w」は、「warai(笑い)」の頭文字。これには、さすがのネット民も驚いた。「載るのかよwww」

 採用の理由は簡単。「普通の人がメールに使っている。既に日常語」と、担当した早稲田大学非常勤講師の飯間浩明さん(46)=日本語学。言葉が無限に変異を続ける。

   ■  ■

 言葉が消える。

 じぇじぇじぇ、倍返し、今でしょ…。

 昨年、「豊作」とされた流行語。だが、俗語研究の第一人者、梅花女子大学の米川明彦教授(58)の見方は厳しい。

 「『今でしょ』は、誰もが使えるという意味で近年まれに見る秀作。でも全体的には軽くて、薄っぺらい」

 100年前の流行語は「マックロケノケ」だった。1914年、内閣が総辞職し、東北は凶作、世界大戦も始まった。世の中真っ黒。流行歌のフレーズには、そんな意味もあった。

 「かつての流行語は社会を映し、寿命も長かった。今は共感できる言葉が少ない」

 だから、すぐに飽きられる。ワイルドだろぉ、フォーー!、グ~!…も今は昔。言葉が猛スピードで時代を駆けていく。

◇◇◇  ◇◇◇

 次々と生まれては消えていく言葉。私たちはその一瞬の輝きに目を奪われ、千言万語の海をさまよう。そして、力をもらい、泣き、笑う一言に出合う。新しい年、言葉の今を見つめたい。

(岸本達也、武藤邦生)

2014/1/1

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