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【特集】ギカイズム 近くて遠い議場の論理

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寺島渉さん
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寺島渉さん

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 なり手不足が深刻化する地方議会。議員の相次ぐ不祥事や議会に対する不信が拍車を掛ける。住民を巻き込んだ改革を進め、全国から注目を集める長野県飯綱(いいづな)町議会を主導してきた前議長寺島渉(わたる)さん(69)に、その要因を聞いた。人口減少や議員報酬の低さが理由によく挙がるが、「最大の要因は議会の魅力のなさ」と断じる。

 -飯綱町議会で改革が始まったきっかけは。

 「12年前、町内のスキー場を経営する第三セクターが破綻。町が結果的に8億円の負担を抱え、チェック機能が果たせなかった議会も批判にさらされた。ただ、問題が起きた時こそ改革のチャンスだと思った」

 -何を始めたのか。

 「行政の追認機関から脱し、議会がチームとなって政策力を向上させ、住民参加を広げて活動の『見える化』をしようとした。一つが政策サポーター制度。住民の知恵を借りて議員も一緒に政策を考えた。すると議会では出ないアイデアや発見があった。人口増加対策を考えた際、30代女性が『子育て世代は移住して来ない』と言いだした。隣接する長野市は夕方からの延長保育料が無料で、飯綱は有料だからだという。問題提起を受けて議会は無料化を提案し、翌年度から420万円の予算が付いた」

 -議員のなり手不足が深刻化している。

 「背景には複合的な要因がある。長年、首長の追認機関になっており、独自の役割が果たせていなかった。住民は議会の存在を実感できずにいる。もう一つは、自治を担う集落機能が弱くなり、団体や組織が小規模化した結果、人材を育成する力も弱くなった。平成の大合併で町村が消滅し定数を減らしたため、地域から議員がいなくなった。もちろん、なり手不足の直接的な要因は議会の魅力のなさだが、地域社会の変貌によるものも大きい」

 -飯綱ではどうか。

 「過去3回募集した政策サポーターの経験者は計43人。議会広報モニターにも延べ178人が参加した。この中から昨年の町議選で15人中5人が当選した。議員と共に政策作りをしたからこそ、立候補へのハードルが低くなる。議会の応援団をつくることにもつながり、財産になった。地道な活動がなり手不足の解消につながる。法律で議会の形や制度を変えるだけでは、問題の解決にはならない」

 -議員報酬の低さを嘆く議会も多い。

 「議員報酬を上げることは難しい。議会の役割が住民には全く見えておらず、納得してもらえない。信頼されることが大前提で、まずは議会改革を頑張っている姿を見せることから始まる。飯綱では成果と前進があったから昨年、わずかだが報酬を上げ、政務活動費の支給が実現した」

 -現在の活動は。

 「昨年11月に議員を辞めて地域政策塾を始めた。3回勉強会を開いたが、議論の機会を設け、なり手を育てたい。『議員になってもいい』と思っている人が既に2、3人いるらしい」

(聞き手・井関 徹)

2018/12/14

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