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【特集】ギカイズム 近くて遠い議場の論理

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小野市議会の前田光教議長(右)と河島三奈副議長=小野市王子町 神戸市議会がインターネットで公開している政務活動費の領収書の写し。高額のパソコンにも支出されていた(撮影・大森 武)
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小野市議会の前田光教議長(右)と河島三奈副議長=小野市王子町

神戸市議会がインターネットで公開している政務活動費の領収書の写し。高額のパソコンにも支出されていた(撮影・大森 武)

  • 小野市議会の前田光教議長(右)と河島三奈副議長=小野市王子町
  • 神戸市議会がインターネットで公開している政務活動費の領収書の写し。高額のパソコンにも支出されていた(撮影・大森 武)

小野市議会の前田光教議長(右)と河島三奈副議長=小野市王子町 神戸市議会がインターネットで公開している政務活動費の領収書の写し。高額のパソコンにも支出されていた(撮影・大森 武)

小野市議会の前田光教議長(右)と河島三奈副議長=小野市王子町

神戸市議会がインターネットで公開している政務活動費の領収書の写し。高額のパソコンにも支出されていた(撮影・大森 武)

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  • 神戸市議会がインターネットで公開している政務活動費の領収書の写し。高額のパソコンにも支出されていた(撮影・大森 武)

 地方議員の調査研究活動に対し、報酬や期末手当(ボーナス)とは別に支給される政務活動費(政活費)制度は、兵庫県と県内41市町の全42議会中、約8割の34議会で設けられている。しかし、その年間支給額を見ると、県議の540万円に対し、西脇市議は4万4500円と議会によって大きく異なる。県議会や神戸市議会で不正使用の問題が相次いで発覚し、小野市などは制度そのものを廃止した。特集の第5弾は「議員とカネ」を巡る県内各議会の取り組みを追った。(霍見真一郎、前川茂之、井関 徹)

 「使途基準が曖昧すぎて精査するにも限界があった」

 2011年3月分の給付を最後に政務活動費(政活費)の前身、政務調査費(政調費)を廃止した兵庫県太子町議会。当時議長だった元町議、佐野芳彦さん(71)はその理由を振り返る。

 議員1人当たりの年間支給額は6万円。全国的に制度の不透明さが指摘され、議会内でも使途を限定するなどした結果、政調費を使う議員が減少していた。

 議員所得の透明性を確保するため、期末手当や政調費をやめて報酬に一本化することを議論。最終的に政調費の廃止だけが決まった。

 廃止から3年後、一部町議から復活を求める声が上がったが、議会での議論を経て現状維持が決まった。ちょうど、県議が「号泣会見」で注目を集めていた最中だった。

 町議を退いた佐野さんは今でも不思議でならない。「なぜ、これほどまで不透明で信頼されていない制度に執着するのか。住民が納得できる説明をしてほしい」

      ◇

 政調費制度は01年、地方分権一括法の成立を受けて、自治体とともに地方議会の機能強化を図る目的で導入が始まった。

 議員の政策立案能力を高めるためのいわば“勉強費”。13年には「政務活動費」に改称され、使い道を拡大し、その範囲は各自治体の判断に委ねられた。

 ところが、各地で不正利用が相次ぐ。14年に兵庫県議による虚偽の日帰り出張疑惑が浮上。翌年には神戸市議会で会派による不正流用問題が発覚した。

 在り方が注目を集め、14年以降、西宮、三田両市議会は支給額を減額。養父、丹波、淡路の3市議会は不正をチェックできるよう後払いにした。県と神戸市議会は領収書の写しなどのインターネット公開で透明性を確保した。

 一方で、太子町など8市町議会は支給していない。年間12万円を支給する福崎町議会では、使わずに返還された政活費が全体の8割近くに及んでいる。

      ◇

 小野市議会は17年、政活費制度の開始以降、県内では初めて廃止に踏み切った。

 調査や研究に必要な費用はその都度、議会の承認を経て議会費として支出する方式に変更。決まった支給枠を用意するのではなく、活動に応じて使えるようにした。

 行政視察は事前に議会の承認を得る「公務」とし、全議員で成果を議論する報告会を17年9月から始めた。「小野と視察先を比較し、具体的な政策の議論が深まりつつある」と前田光教議長(53)は評価する。

 「(公務となって)勉強に行っていると市民に言いやすくなった」。河島三奈副議長(42)も手応えを語り、報告会には市職員も参加して質疑をするようになった。

 次のステップとして報告会を市民に公開し、さらに透明性を確保することも視野に入れる。

▼政活費使った海外視察/成果に疑問、10市町が支出禁止

 費用がかかる割に成果が見えにくいとされる政務活動費(政活費)を使った海外視察。兵庫県と県内41市町の計42議会のうち、10市町が条例施行規則などで支出を禁止している。

 認めていても大半の議会では実績がない。2017年度に政活費で海外に出掛けたのは兵庫県議会の22人▽神戸市議会の15人▽篠山市議会の6人-のみ。このうち篠山は初の海外視察となった。

 県内の政令市と中核市の計5市のうち、会派や個人単独での海外視察を唯一認めている神戸市議会。17年度は計1200万円の政活費が充てられた。

 調査報告書などによると、同年夏には自民会派と維新会派の計7人が合同で米国・シアトルとサンフランシスコを訪問。自民の5人が航空機のビジネスクラス(1人当たり約55万円)を利用。一方、維新の2人は半額以下のエコノミークラス(同約21万円)で移動しており、政活費の使い方にも曖昧さが残る。

 地方議員は管外調査などの名目で政活費を使った視察が認められている。航空機や鉄道などの運賃のほか、宿泊費や施設利用料などにも支出できる。宿泊費などとして充当できる上限は議会ごとに異なるが、多くは自治体職員の出張旅費規定に基づき、最高ランクの知事や市長の基準が適用されている。(霍見真一郎)

▼議会出席で支給「費用弁償」/「報酬二重払い」批判で廃止続出

 地方議員が議会に出席した際に定額支給される「費用弁償」は政務活動費(政活費)と並び「第2、第3の報酬」とも指摘される。

 かつて多くの自治体で、地方自治法の規定に基づき、報酬や政活費とは別に支給されていた。しかし、「報酬の二重払い」などの批判を受け、2000年度以降は廃止して実費相当の交通費の支払いなどに変更する議会が相次いだ。

 兵庫県と県内41市町の42議会事務局に尋ねたところ、神戸と神河、市川、香美、新温泉の5市町議会では現在も議員が登庁するたびに定額や住所に応じた額を支給している。

 支給額が最も多い神戸市議会は10年度、住所に応じて支給していた日額8千~1万4千円を3千~5千円に減額したが、廃止には至らなかった。17年度の年間支給総額は1420万円で、議員定数で割ると、1人当たり約21万円となった。

 一方、00年度以降で14市町議会が制度を廃止。県議会も15年度、住所に応じて日額2500~1万9千円を支給していたが、交通費の実費支給に切り替えた。

 費用弁償を巡っては札幌高裁が09年、札幌市議への過大な支出の違法性を認定。しかし10年3月、最高裁は「支給額や支給事由は議会の裁量に委ねられる」とし、「報酬の二重払い」とする住民側の訴えを棄却した。(霍見真一郎)

2019/1/11

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