連載・特集 連載・特集 プレミアムボックス

【特集】ギカイズム 近くて遠い議場の論理

  • 印刷
先輩の男性議員も交え、議場で談笑する女性議員7人=小野市議会(撮影・笠原次郎)
拡大

先輩の男性議員も交え、議場で談笑する女性議員7人=小野市議会(撮影・笠原次郎)

先輩の男性議員も交え、議場で談笑する女性議員7人=小野市議会(撮影・笠原次郎)

先輩の男性議員も交え、議場で談笑する女性議員7人=小野市議会(撮影・笠原次郎)

 4月にあった4年に1度の統一地方選は、地方自治の活力低下をあらわにした。首長や議員のなり手不足が広がり、人口減少に伴う定数削減などで無投票となる選挙が続出。軒並み過去最低となった投票率は、身近な政治への関心が薄れゆく現状を浮き彫りにした。一方で、法律でうたう候補者数の男女均等にはまだまだ遠いが、女性議員らの誕生が相次ぎ、わずかに前進した。ギカイズム特別編では兵庫県内の統一選を振り返る。(石沢菜々子)

■女性議員の割合/県内1位43%、模索続く小野市

 10日に開かれた小野市議会(定数16)の臨時議会。統一地方選後半の市議選で当選した女性議員7人が顔をそろえた。

 改選で議会の女性比率は43・8%と半数に迫り、兵庫県内ではトップに躍り出た。議会の冒頭、蓬〓務市長(73)は「新しい時代にふさわしいスタートになった」と歓迎した。

 女性7人は現職4人と新人3人で、30~70代の主婦や地域団体役員、元自治体職員など立場は多彩。男性の現職を抑え、立候補した全員が当選し、うち3人は得票数で上位を独占した。

 同市議会ではかつて女性議員ゼロの時期があった。議会と並んで「車の両輪」に例えられる自治体側が危機感を持ち、市は政治や地域活動に女性の参画を促すユニークな施策を展開してきた。

 市内在住の女性が議場で市長らとまちづくりについて討論する「女性議会」を2001年から13年まで4年ごとに開催。同議会の議長を経験し、市議になった河島三奈さん(42)=3期目=は「議員の仕事を知ることができ、自分にもできるかもしれないと思った」と振り返る。

 市は13年度から3年間限定で、2人以上の女性を役員に登用した自治会に対し年間10万円を補助。女性が会長などになった自治会にはさらに10万円を加算した。

 「札束で頬をたたくようで品がない」と批判もあったが、約3割に当たる30自治会が制度を利用し、女性役員のいる自治会の割合は5割を超えた。交流会や研修会などを開き、地域内の人脈づくりにも力を入れた。

 長く男女共同参画事業に携わってきた元市職員の中村和子さん(64)は「段階的に必要な施策に形を変えて(男女共同参画の)事業を続けることができた」と説明。今回の市議選について「地域活動に携わる女性を増やしてきた取り組みが実を結んだのだろう」とみる。

 地域団体役員などを経て市議に初当選した河島泉さん(65)は「住民に身近な議員になり、若い人がやってみたいと思える流れをつくりたい」と意気込む。

■低投票率/12議員選で最低更新

 今回の統一地方選でも投票率の低下に歯止めがかからなかった。兵庫県内では計15の選挙(無投票の明石市長選、福崎町長選を除く)が繰り広げられたが、県議選と姫路市長選、11市町議選で過去最低を記録。うち県議選と4市議選は4割を割り込み、有権者の関心を高める手だてが見つからない。

 投票率の低下は全国的な傾向で、41の道府県議選をはじめ、市区町村長選、市区町村議選は50%を割り、多くの選挙で過去最低を更新した。1950年代をピークに右肩下がりの状況が続いている。

 西宮市議選の投票率35・94%は前回に続き県内最低を記録。定数41を巡って56人が立候補したものの目立った争点はなく、訴えは子育て施策の充実や地域活性化など反論が出にくい政策に偏った。

 一方で、投票率がやや持ち直した11道府県知事選は、保守分裂の構図になった福井が58・35%で前回を9・76ポイント、福岡も42・72%と同3・87ポイント上昇。大阪府知事・市長のダブル選も2015年11月の前回を上回った。

 低投票率について龍谷大の土山希美枝教授(地方自治)は「現状の議会が有権者から期待も信頼もされていない証拠」と断じる。

 なり手不足で議会の在り方が注目され、8年ぶりに村議選があった高知県大川村に触れ、「有権者に投票を促すには、まちの政策に自分たちの意思が尊重されていると実感してもらうことが重要。議会が魅力や重要性を発信し、議会と住民の関係を再構築する必要がある」と話す。

 統一選で実施される地方選の割合を示す「統一率」は近年、27%台に低迷している。「平成の大合併」などで離脱や足並みの乱れが目立っており、全ての自治体の首長・議会選挙を一斉に行うような改革が必要との議論もある。(前川茂之、井関 徹)

■定数削減/合区、届かない民意

 谷あいに田んぼが広がる朝来市和田山町糸井地区(人口約2700人)。2年前、不審者や高齢者の徘徊(はいかい)対策で地区内に防犯カメラを設ける計画が浮上した。

 兵庫県や市の設置補助制度を利用するため当時、地区の会長だった野元剛さん(70)は地元県議に相談。県の担当課を紹介してもらい、数カ月後スムーズに申請が通ったという。

 同市は2015年の国勢調査で、県全体の県議1人当たりの人口と比較した選挙区人口の数値(配当基数)が0・5を下回り、公選法に基づく強制合区の対象になった。1票の格差を是正するため、単独選挙区の人口基準を満たさない「特例選挙区」となっていた養父市と合区が決まった。

 合区後の面積は県内最大で淡路島の1・4倍。統一地方選前半の県議選では、それぞれの市を地盤とする現職2人が広大な選挙区を二分する激戦を繰り広げた。

 「人口が少なくても治水や防災など県への要望は多い。県議が減れば住民の声が届きにくくなる」。野元さんは懸念を口にする。

 選挙戦を勝ち抜いた県議の藤田孝夫さん(64)=養父市=は「学校単位の地域自治協議会などと連携し、地域の課題に目を配っていきたい」と強調。一方で「1票の格差だけで選挙区を決めていいのかという思いは残る」とも漏らす。

 県内では前回県議選で佐用郡が赤穂市・赤穂郡と合区になった。相生市は合区を猶予する特例選挙区として残っている。今後、人口減少が進めば新たに強制合区の対象となる選挙区が増える可能性もある。

 県議会は昨年、議員定数の在り方をまとめた報告書でこう記した。「地域活力の維持という社会情勢の変化も踏まえた地域代表選出の在り方を議論すべきだ」(長谷部崇、井関 徹)

(注)〓は「莱」の「来」が「來」

2019/5/24

天気(7月22日)

  • 29℃
  • ---℃
  • 50%

  • 31℃
  • ---℃
  • 50%

  • 30℃
  • ---℃
  • 50%

  • 30℃
  • ---℃
  • 60%

お知らせ