神戸市の学童保育は開くの遅い? 自治体間で開所時間に差がある理由

2019/07/27 08:30

放課後に小学生を預かる学童保育。開所時間の前倒しが広がっている=姫路市北条、城陽小学校

 「なぜ神戸市の学童保育は土曜日だけ開くのが遅いの?」。無料通信アプリLINE(ライン)を使った神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」に、神戸市須磨区の母親からこんな質問が寄せられた。同市の学童は、夏休みなど長期休暇中の平日は朝8時半から始まるが、土曜日は年間を通じて9時。確かに仕事があるのは平日だけとは限らない。出勤時間を考えても「30分」の違いは大きい。早速、取材を始めてみた。 関連ニュース 西宮市の学童保育施設の指定管理者、サイバー攻撃でウイルス感染 個人情報流出は確認されず 学童保育の利用、夏休み限定OK 神戸市 先行20施設、共働き世帯に対応 学童保育時間延長、不登校支援…尼崎市予算は過去最大規模 市税増で「攻め」の姿勢


 働く親の子どもを放課後や週末に預かるのが学童保育。放課後児童クラブとも呼ばれ、学校内の施設や児童館を利用する。
 投稿してくれた母親は介護関係で働き、夫は調理師。週末はともに仕事がある。土曜日は小1の長男と朝8時25分ごろ、一緒に自宅を出る。「本当は8時10分には出たいけど、始業時間ぎりぎりに出勤させてもらっている」という。
 長男が学童に到着するのは8時40分。開所する午前9時までは「雨の日も暑い日も外で待っている」。小1のため、鍵を持たせるのはためらう。夏場は熱中症も心配だ。女性は言う。
 「販売員やサービス業、保育士など土曜日にも働く親は多いと思う。土曜も早く始めてほしい」

 神戸市と兵庫県内の中核市4市に現状を尋ねると、開所時間に大きな差があることが分かった。
 姫路市はもともと長期休暇中と土曜は朝8時から利用できる。さらに今年は8月中下旬の平日、試験的に「7時開所」に踏み切る。
 同市によると、「保護者の生活リズムを考慮」して昨夏、7施設で1週間「7時開所」を試行したところ、対象児童664人のうち約35%が8時前から利用した。その後の保護者アンケートでも好評で、今夏は試験の対象を公営の全67施設に拡大。来年夏からは本格実施も視野に入れる。
 西宮市も従来、長期休暇中の平日と土曜日は朝8時半からだったが、今年から全41施設で8時に早める。2016年に一部施設で実施して以降、年々数を増やし、今夏で足並みがそろった。市は「『学校の開始時間に合わせてほしい』という声が多かった」と理由を説明する。
 取材した5市のうち、土曜日の開所が午前9時だったのは神戸市と尼崎市。神戸市は「学童保育の運営を委託している児童館のオープンが9時なので、それに合わせている」「土曜日は利用者が少ない」などと理由を説明する。開所を早める方向で検討するものの「職員の確保が難しく、実施にはまだ時間が必要」とも話す。(伊田雄馬)

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