「ポン太ロス」復活望む声続々 JR明石駅待ち合わせスポット

2019/10/25 15:13

真っ二つになった「明石ポン太」=9月29日、JR明石駅

 JR明石駅(兵庫県明石市)のコンコースにあったタヌキの焼き物「明石ポン太」が真っ二つに割れ、姿を消した。神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」には「壊された!」という速報とともに、「ポン太どうなるの?」と心配する声が寄せられた。東京・渋谷のハチ公とまではいかないが、市民に長年親しまれた待ち合わせスポット。このままいなくなるのか-。(長沢伸一) 関連ニュース 新快速電車が人と接触、JR芦屋-西明石間で上下線運転見合わせ 高砂のJR宝殿駅で普通電車が100mオーバーラン 40分後に運転再開、上下4本が運休 大雨予想で再び運転見合わせ JR加古川線、西脇市-谷川間

 「タヌキがいない」
 10月上旬、明石駅で知人を待っていた男性が戸惑っていた。「明石駅は広い。待ち合わせといえばあのタヌキだったのに…」
 JR西日本などによると、ポン太が壊されたのは9月28日午後10時ごろ。ラグビーワールドカップ(W杯)の応援で盛り上がった大人がぶつかったらしい。壊した人物は「故意ではない」とし、弁償の意思を示しているという。
 JR西は利用者の安全を考え、9月29日にブルーシートをかぶせ、10月3日未明に撤去した。
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 ポン太が明石駅に登場したのは1981年。明石セントラルライオンズクラブが10周年記念に寄贈した。
 受難は今回だけではない。初代は泥酔者に粉々にされ、2代目は95年の阪神・淡路大震災で台座が壊れ、明石市立少年自然の家に移設された。惜しむ声が相次ぎ、同クラブが96年、3代目を寄贈した。
 2010年に愛称を募り、「明石ポン太」に決まった。信楽焼の特注品で、3代目は高さ約180センチで50万~60万円。実は2体あり、市役所にも寄贈した。市役所のタヌキは現在も本庁舎の2階にあるが「そんなのあったっけ」と市職員にとっても地味な存在だ。
 4代目の登場はないのか。
 同クラブの藤澤智由会長(37)は「高価なので新たに購入するのは難しい。市役所のタヌキを駅に持っていったらどうか、との案がメンバーから出ている」と言う。
 明石駅の利用者も寂しがっている。今月中旬には、ポン太があった場所の壁に「いないとさびしいよね」と書かれたイラスト付きメッセージが掲示された。
 待ち合わせ場所として利用していた女性(80)=明石市=は「あるのが当たり前だったから、ありがたみを感じなかったのかな」とぽつり。
 JR西の広報担当者は「市民や寄贈団体の思いもある。修復や移設の話があれば前向きに考えたい」と話している。
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