品薄で高騰 東京五輪年賀はがきがネットで売買 日本郵便把握も対応せず
2019/11/06 12:38
メルカリに出品された東京五輪の記念はがき。売買が成立したものも多い
「オリンピックの記念年賀状がネット上で転売されている。これはひどすぎます」。神戸新聞の双方向型報道「スクープラボ」にこんな声が寄せられた。調べてみると、東京五輪・パラリンピックの大会マスコットがあしらわれ、100万枚限定で発行された年賀はがきが定価より高値で多く売買されていた。日本郵便は転売を把握しているが、はがきの再販は禁じられていないため出品の取り下げは求めないという。
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限定はがきは、和装で愛らしく首を傾ける大会マスコットの「ミライトワ」と「ソメイティ」をカラーで印刷。大会の準備や運営に役立てられる寄付金5円を上乗せし、1枚68円で販売した。
日本郵便近畿支社によると、今月1日の発売直後から完売する郵便局が相次いだ。兵庫県内では神戸市中央区の神戸中央郵便局のみが取り扱い、用意していた枚数が約1時間半で売り切れたという。同支社管内の郵便局には在庫がないといい、全国でも正規での購入は困難とみられる。
「年賀はがき オリンピック」。オークションサイト「ヤフオク!」の検索欄に打ち込むと、出品された限定はがきがずらりと表示された。同サイトでは10枚セットが千円以上で競売されている。
フリーマーケットアプリ「メルカリ」でも、送料込みで「5枚720円」「10枚1300円」の価格が付き、多くの出品で売買が成立していた。送料は定形外郵便で50グラム以内が120円、100グラム以内でも140円のため、出品者は利益を得られるとみられる。
ただ、はがきの転売を規制できない事情もある。日本郵便広報室は「はがきや切手は再販を禁止しているものではない。そのため、現時点では出品者やサイトの運営会社へ取り下げを要請することは考えていない」と話す。
消費者問題に詳しい北村拓也弁護士(39)も「大量の売買でなければ、直ちに違法とは言いにくい。グレーゾーンのように感じる」としている。(田中宏樹)
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